この記事で解説している「宅地造成及び特定盛土等規制法」ですが、元の「宅地造成等規制法」という法律を改正・強化したものです。

宅建業者が行う重要事項説明書にも記載する項目ですので、把握する必要があります。

この法律の目的は盛土に関する規制の詳細化と災害防止策です。近年、豪雨などの異常気象が増加し、宅地造成や盛土による地滑りなどの災害が多発したことから、従来の法律では十分な対応ができないと判断され、新たに「宅地造成及び特定盛土等規制法」として改正されたのです。

宅建試験でも出ますので重要なポイントを確認していきましょう。まずは法律の条文を引用し、後に解説を書いています。さっそく解説へ移動する場合は、こちらをクリック

(目的)
第一条
この法律は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 宅地 : 農地、採草放牧地及び森林(以下この条、第二十一条第四項及び第四十条第四項において「農地等」という。)並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供されている土地(以下「公共施設用地」という。)以外の土地をいう。
二 宅地造成 : 宅地以外の土地を宅地にするために行う盛土その他の土地の形質の変更で政令で定めるものをいう。
三 特定盛土等 : 宅地又は農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地又は農地等に隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいう。
四 土石の堆積 : 宅地又は農地等において行う土石の堆積で政令で定めるもの(一定期間の経過後に当該土石を除却するものに限る。)をいう。
九 造成宅地宅 : 地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。)に関する工事が施行された宅地をいう。

第三章 宅地造成等工事規制区域
第十条
都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積(以下この章及び次章において「宅地造成等」という。)に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地若しくは市街地となろうとする土地の区域又は集落の区域(これらの区域に隣接し、又は近接する土地の区域を含む。第五項及び第二十六条第一項において「市街地等区域」という。)であつて、宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成等工事規制区域として指定することができる。

第四章 宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する工事等の規制
(住民への周知)
第十一条工事主は、次条第一項の許可の申請をするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
(宅地造成等に関する工事の許可)
第十二条宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する前に、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
2都道府県知事は、前項の許可の申請が次に掲げる基準に適合しないと認めるとき、又はその申請の手続がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反していると認めるときは、同項の許可をしてはならない。
一当該申請に係る宅地造成等に関する工事の計画が次条の規定に適合するものであること。
二工事主に当該宅地造成等に関する工事を行うために必要な資力及び信用があること。
三工事施行者に当該宅地造成等に関する工事を完成するために必要な能力があること。
四当該宅地造成等に関する工事(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第二条第一項に規定する土地区画整理事業その他の公共施設の整備又は土地利用の増進を図るための事業として政令で定めるものの施行に伴うものを除く。)をしようとする土地の区域内の土地について所有権、地上権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全ての同意を得ていること。
3都道府県知事は、第一項の許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができる。
4都道府県知事は、第一項の許可をしたときは、速やかに、主務省令で定めるところにより、工事主の氏名又は名称、宅地造成等に関する工事が施行される土地の所在地その他主務省令で定める事項を公表するとともに、関係市町村長に通知しなければならない。

第五章 特定盛土等規制区域
第二十六条都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であつて、土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件及び周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件からみて、当該区域内の土地において特定盛土等又は土石の堆積が行われた場合には、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住者その他の者(第五項及び第四十五条第一項において「居住者等」という。)の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を、特定盛土等規制区域として指定することができる。

第六章 特定盛土等規制区域内における特定盛土等又は土石の堆積に関する工事等の規制
(特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の届出等)
第二十七条特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の三十日前までに、主務省令で定めるところにより、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
2都道府県知事は、前項の規定による届出を受理したときは、速やかに、主務省令で定めるところにより、工事主の氏名又は名称、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事が施行される土地の所在地その他主務省令で定める事項を公表するとともに、関係市町村長に通知しなければならない。
3都道府県知事は、第一項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る工事の計画について当該特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止のため必要があると認めるときは、当該届出を受理した日から三十日以内に限り、当該届出をした者に対し、当該工事の計画の変更その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
4都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなくて当該勧告に係る措置をとらなかつたときは、その者に対し、相当の期限を定めて、当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
5特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等について都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可の申請をしたときは、当該特定盛土等に関する工事については、第一項の規定による届出をしたものとみなす。

第七章 造成宅地防災区域
第四十五条都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。第四十七条第二項において同じ。)に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成等工事規制区域内の土地を除く。)の区域であつて政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
2都道府県知事は、擁壁等の設置又は改造その他前項の災害の防止のため必要な措置を講ずることにより、造成宅地防災区域の全部又は一部について同項の指定の事由がなくなつたと認めるときは、当該造成宅地防災区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
3第十条第二項から第六項までの規定は、第一項の規定による指定及び前項の規定による指定の解除について準用する。
第八章 造成宅地防災区域内における災害の防止のための措置
(災害の防止のための措置)
第四十六条造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者、管理者又は占有者は、前条第一項の災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
2都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、前条第一項の災害の防止のため必要があると認める場合においては、その造成宅地の所有者、管理者又は占有者に対し、擁壁等の設置又は改造その他同項の災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。

宅地造成及び特定盛土等規制法 | e-Gov

(宅地造成及び特定盛土等)
第三条
法第二条第二号及び第三号の政令で定める土地の形質の変更は、次に掲げるものとする。
一 盛土であつて、当該盛土をした土地の部分に高さが一メートルを超える崖を生ずることとなるもの
二 切土であつて、当該切土をした土地の部分に高さが二メートルを超える崖を生ずることとなるもの
三 盛土と切土とを同時にする場合において、当該盛土及び切土をした土地の部分に高さが二メートルを超える崖を生ずることとなるときにおける当該盛土及び切土(前二号に該当する盛土又は切土を除く。)
四 第一号又は前号に該当しない盛土であつて、高さが二メートルを超えるもの
五 前各号のいずれにも該当しない盛土又は切土であつて、当該盛土又は切土をする土地の面積が五百平方メートルを超えるもの

(土石の堆積)
第四条
法第二条第四号の政令で定める土石の堆積は、次に掲げるものとする。
一 高さが二メートルを超える土石の堆積
二 前号に該当しない土石の堆積であつて、当該土石の堆積を行う土地の面積が五百平方メートルを超えるもの

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 | e-Gov

宅地造成及び特定盛土等規制法の用語の定義

まずこの法律で出てくる用語を図を用いて解説していきます。

宅地とは(法第2条1項)

この法律では、次の土地以外の土地を「宅地」と定義しています。

① 農地、採草放牧地、森林
② 道路、公園、河川、公共施設用地に使われている土地

土地の形質の変更とは

宅地造成/特定盛土等について行われる「土地の形質の変更」とは次の5つと定義されています。(法第2条2号)(施行令第3条)

①盛土で、盛土部分の高さが1m超の崖を生ずるもの

②切土で切土部分の高さ2m超の崖を生ずるもの

③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く)

④盛土で高さ2m超(①③を除く)

⑤切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく面積が500㎡超のもの

土石の堆積とは

宅地又は農地等で行う一時的な土石の堆積で、以下のものをいいます。(法第2条3号)(施行令第4条)

①高さが2m超
②面積が500㎡超

宅地造成とは

宅地以外の土地を宅地にするための上で示した「土地の形質の変更」のことをいいます。(法第2条)(施行令第3条)

①盛土で高さが1m超の崖
②切土で高さが2m超の崖
③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く)
④盛土で高さ2m超(①③を除く)
⑤盛土または切土で高さ関係なく面積500㎡超(①~④除く)

特定盛土等とは

特定盛土等とは、宅地や農地で行う上で示した基準の「土地の形質の変更」によって隣の宅地に災害の危険が高まる工事のことをいいます。(法第2条3号)

①盛土で高さが1m超の崖
②切土で高さが2m超の崖
③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く)
④盛土で高さ2m超(①③を除く)
⑤盛土または切土で高さ関係なく面積500㎡超(①~④除く)

造成宅地とは

既に宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。)の工事が行われた宅地のことをいいます。(法第2条1項9号)

宅地造成工事規制区域・特定盛土等規制区域で暗記する表

表を先出しします。これを次章から詳しく解説していきつつ、最後にまとめでまたこの表を出します。

(画像はクリックで拡大)

宅地造成等工事規制区域と工事の許可・届出

宅地造成等工事規制区域の指定

都道府県知事は次の工事にともない災害が生じるおそれがあり、工事規制が必要な区域を「宅地造成工事規制区域」として指定することができます。(法10条)

【対象の工事】
宅地造成/特定盛土等/土石の堆積

【対象のエリア】
・市街地
・市街地になろうとする土地の区域
・隣接する土地の区域

宅地造成等の工事の許可申請

宅地造成工事規制区域内で、次の工事を行う場合は、造成主は工事着手前に、都道府県知事の許可を得なければなりません。(法12条)

【対象の工事】
宅地造成/特定盛土等/土石の堆積
↓つまり↓
①盛土で高さが1m超の崖
②切土で高さが2m超の崖
③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く)
④盛土で高さ2m超(①③を除く)
⑤盛土または切土で高さ関係なく面積500㎡超(①~④除く)
①土石の堆積で高さが2m超
②土石の堆積で面積が500㎡超

また許可に際して、周辺住民への事前周知が必要となります。(法11条)
また都道府県知事は許可するにあたって条件を付すことができます。(法12条3項)

<特例(法15条)>

・国、都道府県、指定都市、中核市の工事は都道府県知事との協議が成立で許可となる
・都市計画法(第29条1項2項)の開発許可を受けた工事については許可不要

災害を防止するための措置の技術的基準

特定の工事では技術的基準を満たしていることや、人に資格を必要とするケースがあります。(法13条)

  • 技術的基準
    宅地造成工事は、災害を防ぐために、技術的基準に従って擁壁や排水施設などの設置をすることが求められます。(詳細は施行令18、19条)
  • 以下の工事は、資格を持つ設計者の設計が求められます
    ・高さが5メートルを超える擁壁の設置(施行令21条)
    ・盛土または切土をする土地の面積が1500㎡超の土地での排水施設の設置

工事計画の変更の許可

工事の許可を受けた者は、工事の計画を変更しようとするときは、都道府県知事の許可が必要です。(法16条)

次のような軽微な変更をしたときは届出だけでよい。(法16条2項)(規則38条)
①工事主、設計者、工事施行者の変更
②工事の着手予定日、完了予定日の変更
(土石の堆積工事で工事予定期間が増える場合は駄目)

工事の完了検査(法17条)

工事完了後は検査を受ける必要があります。

  • 宅地造成、特定盛土等の工事
    工事が完了すれば、都道府県知事の検査を受けなければならない。
    →技術的基準に適合しているとされれば「検査済証」が交付される。
  • 土石の堆積工事
    工事が完了すれば、堆積していた土石の除却が行われたかどうか、都道府県知事の確認を申請しなければならない。
    →除却されていれば「確認済証」が交付される。

工事等の届出が求められるケース

許可ではなく、都道府県知事に「届出」が必要な場合をまとめています。(法21条)

許可を取った人以外で、次の人は届出が必要になります。

  • 宅地造成工事規制区域の指定の際に行っている工事(法21条1項)
    →指定された日から21日以内に届出
  • 宅地造成工事規制区域内の土地において行う以下の工事(法21条3項)
    →工事着手の14日前までに届出

    (施行令26条)
    ・高さ2m超の擁壁等の除却
    ・排水施設の除却
    ・地滑り防止ぐいの除却
  • 宅地造成工事規制区域内で宅地以外の土地を宅地に転用した者(法21条4項)
    →転用した日から14日以内に届出

宅地の保全・勧告・改善命令

①宅地造成工事規制区域内の土地の所有者・管理者・占有者は常に安全な状態であるように保つ努力をしなければなりません。(法22条)

②都道府県知事は、危険な土地に対して、土地の所有者・管理者・占有者・工事主・工事施行者に勧告することがあります。(法22条2項)

③都道府県知事は、宅地造成/特定盛土等にともなう災害の防止のため、必要な工事を命ずることができる。
誰に? 所有者、管理者、占有者に対し、相当の期限を設けて。

特定盛土等規制区域と工事の許可・届出

特定盛土等規制区域の指定

都道府県知事は次の工事にともなう災害で市街地に危険が及ぶ区域を「特定盛土等規制区域」として指定することができる。(法26条)

【対象の工事】
特定盛土等/土石の堆積

【対象のエリア】
宅地造成等工事規制区域以外の土地
(市街地に近い山の斜面など)

特定盛土等/土石の堆積に関する工事の届出等(27条)

特定盛土等規制区域で特定盛土等/土石の堆積の工事
工事着手の30日前までに届出

【対象の工事】
特定盛土等/土石の堆積
↓つまり↓
①盛土で高さが1m超の崖
②切土で高さが2m超の崖
③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く)
④盛土で高さ2m超(①③を除く)
⑤盛土または切土で高さ関係なく面積500㎡超(①~④除く)
①土石の堆積で高さが2m超
②土石の堆積で面積が500㎡超

変更の届出(法28条)

工事計画の変更をするとき
→変更後の工事着手の30日前までに届出

特定盛土等/土石の堆積に関する工事の許可(法30条)

以下のような大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれが大きい「特定盛土等」は工事着手前に都道府県知事の許可が必要となります。(施行令28条1項)

①盛土で高さが2m超の崖

②切土で高さが5m超の崖

③切土&盛土の場合で、高さ5m超の崖(①②を除く)

④盛土で高さ5m超(①③を除く)

⑤盛土または切土で高さ関係なく面積3000㎡超(①~④除く)

以下のような大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれが大きい「土石の堆積」は工事着手前に都道府県知事の許可が必要となります。(施行令28条2項)

①高さ5m超の土石の堆積&面積1500㎡超

②土石の堆積の面積3000㎡超(①のぞく)

許可申請をする際には、事前に周辺住民に対して周知をする必要があります。(法29条)

災害を防止するための措置の技術的基準

  • 技術的基準
    特定盛土等規制区域内の工事は技術的基準に従い、擁壁の設置や災害防止の措置が求められます。(法31条)
  • 以下の工事は、資格を持つ設計者の設計が求められます。(施行令31条)
    ・高さが5メートルを超える擁壁の設置
    ・盛土または切土をする土地の面積が1500㎡超の土地での排水施設の設置

工事計画の変更の許可(法35条)

工事の計画の変更をするときは、都道府県知事の許可が必要となります。

工事の完了検査(法36条)

工事完了後は検査を受ける必要があります。

  • 特定盛土等の工事
    工事が完了すれば、都道府県知事の検査を受けなければならない。
    →技術的基準に適合しているとされれば「検査済証」が交付される。
  • 土石の堆積工事
    工事が完了すれば、堆積していた土石の除却が行われたかどうか、都道府県知事の確認を申請しなければならない。
    →除却されていれば「確認済証」が交付される。

特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の届出(法40条)

許可ではなく、都道府県知事に「届出」が必要な場合をまとめています。

許可を取った人以外で、次の人は届出が必要になります。

  • 特定盛土等規制区域の指定の際に行っている工事
    →指定された日から21日以内に届出
  • 特定盛土等規制区域の土地において行う以下の工事
    →工事着手の14日前までに届出
    (施行令34条で準用する施行令26条)
    ・高さ2m超の擁壁等の除却
    ・排水施設の除却
    ・地滑り防止ぐいの除却
  • 特定盛土等規制区域で公共施設用地を宅地・農地に転用した者
    →転用した日から14日以内に届出

宅地の保全・勧告・改善命令

①特定盛土等規制区域内の土地の所有者・管理者・占有者は災害が生じないよう、安全維持の努力をしなければなりません。(法41条)

②都道府県知事は、区域内の危険な土地に対して、土地の所有者・管理者・占有者・工事主・工事施行者に勧告することがあります。(法41条2項)

③都道府県知事は、特定盛土等にともなう災害の防止のため、必要な工事を命ずることができます。(法42条)
誰に? 所有者、管理者、占有者に対し、相当の期限を設けて。

宅地造成工事規制区域・特定盛土等規制区域のまとめ

改めてまとめの表を御覧ください。宅建試験に向けて暗記しておきましょう。

区域 行為 届出 許可
宅地造成工事規制区域 土地の区画形質の変更 なし ①盛土で高さが1m超の崖
②切土で高さが2m超の崖
③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く)
④盛土で高さ2m超(①③を除く)
⑤盛土または切土で高さ関係なく面積500㎡超(①~④除く)
土石の堆積 なし ①土石の堆積で高さが2m超
②土石の堆積で面積が500㎡超
区域 行為 届出 許可
特定盛土等規制区域 土地の区画形質の変更 ①盛土で高さが1m超の崖 ①盛土で高さが2m超の崖
②切土で高さが2m超の崖 ②切土で高さが5m超の崖
③切土&盛土の場合で、高さ2m超の崖(①②を除く) ③切土&盛土の場合で、高さ5m超の崖(①②を除く)
④盛土で高さ2m超(①③を除く) ④盛土で高さ5m超(①③を除く)
⑤盛土または切土で高さ関係なく面積500㎡超(①~④除く) ⑤盛土または切土で高さ関係なく面積3000㎡超(①~④除く)
土石の堆積 ①土石の堆積で高さが2m超&面積300㎡超 ①土石の堆積で高さが5m超&面積1500㎡超
②土石の堆積で面積が500㎡超 ②土石の堆積で面積が3000㎡超

造成宅地防災区域の指定と保全

造成宅地防災区域の指定と解除

都道府県知事によって、宅地造成等工事規制区域以外で災害が起こりそうな一団の造成宅地の区域「造成宅地防災区域」として指定されます。(法45条)

擁壁・排水施設等の設置・改造などの措置を講じたことにより、造成宅地防災区域に指定する事由が無くなった時は、その指定が解除されます

造成宅地の保全・勧告・改善命令

①造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者・管理者、占有者は、宅地造成に伴う災害が生じないように災害を防止するための措置(擁壁・排水施設の設置改造)を講ずるように努めなければいけない。(法46条1項)

②都道府県知事は必要な措置の勧告をすることができる。(法46条2項)

③都道府県知事は必要な工事を命ずることができる。(法47条)

宅地造成及び特定盛土等規制法の罰則規定

無許可や違反して工事を行った場合、最大で懲役3年、1000万円以下の罰金。


重要ポイントは以上となります。