私も家を買うとき経験があるのですが、不動産屋に問い合わせを送っても全く返信が来ないということを経験しました。
それも1社だけじゃなく複数社です。これは一体どういうことなのか、実際に不動産屋に勤務してみてわかってきたことがありますので、不動産屋からの返信がなく無視されてるんじゃないかという方の参考になればと思いこの記事を書きました。
不動産屋からメールの返信が来ない、なんて事があるのか?
不動産屋に問い合わせをした、なのにメールも電話も返信が来ない、ということは往々にしてあります。そして、そういう人はどの不動産屋に対しても無視される事が多いかもしれません。
例えば次のようなケースです。
– スーモやathome等から物件の詳細を知りたいと思って問い合わせしたのに、何も返事がない
– いったんは返事があったのに、その後の追加の情報提供がない
– 電話で問い合わせして、資料や情報を送ると言われたのに、その後返信が来ない
– 査定の申込みをしたのに、その後なんの音沙汰もない
– スーモ、athome、homes、イエウール、home4uなどで一括査定申込みをしたのに、応答がない
– 簡易査定を申し込んだら、査定額の返信が来ない
こんなケースが現実に起こります。
なぜ不動産屋からのメールの返信が来ないか、無視されているのか
これは大きく3パターンあります。
②いいお客さんじゃないと判断され優先順位が後回しになっている
③ ①や②の人がもはや忘れられている
①ですが、不動産屋のお店で1日10件とか問い合わせのメール、電話が来るし、現在進行中のお客様がいるのでメールの問い合わせは後回しになりがちです。電話で問い合わせ来たらそっちを優先的に出ないといけないので。また営業マンが外に出てるときが多く、事務員が対応する場合は1次対応で返信するけど、そのあとの営業マンからの連絡が行き届かないケースも多いでしょう。
問題なのは②なのですが、どういった人が後回しになるのか詳細を深堀りしてみましょう。
それは「不動産屋の利益にならなそうな人」です。
もう圧倒的にこの理由です。購入希望者と売却希望者それぞれのケースを見ていきます。
★購入希望者だったら?
面倒くさそうな人、何言ってるかわからない人、投資家、請求が細かい人、メール対応のみOKの人、電話やり取りを希望しない人、質問が多い人、希望価格と市場がマッチしない人
こういった人は後回しになる可能性があります。
(細かい人)
・登記簿を送ってほしい→売主の個人情報なので送れない、法務局で自分で取れるので取ればいい
・公課証明を送ってほしい→売主の個人情報なので送れない、不動産屋も預かってない
・固定資産税はいくらか?→不動産屋は把握していない、売主に聞かないとわからない、いちいち聞いてられない
・部屋の中はリフォームが必要そうか?→リフォームが必要かどうかは購入者次第なので自分で判断しなされ
・値引きは可能か?→不動産屋は把握してない、把握してるけど言えない、交渉材料なので明示できない
・資料請求がお互いわかっていないケース→ほとんどの情報はスーモやathomeに掲載されているため新たに出せる資料が無い。スーモの項目に「資料請求」というのがあるけど、不動産屋も何の資料を見せればよいかわからない。
・住所の詳細を知りたい、番地を知りたい
→このケースは住所の詳細を教えて貰える場合がほとんどです。ただし現在居住中で住所を教えてしまうと問題がある場合があるので、内見のみ対応可というケースはあります。そういうときはGoogleマップで場所を確認するだけだから番地も教えて、といえばだいたい教えてもらえるでしょう。
(投資家)
投資家からの問い合わせは好みがわかれます。基本的に安く買いたい投資家が多いのは理解してます。
高い物件も安い物件も不動産屋の稼働時間はかわらないので、高い物件の取引が成功したほうが実入りは良いのです。なので投資家からの問い合わせは優先順位が後回しになりがちです。
また最終局面までつきあって、大幅な指値で買付を入れられたときのズコー感ったらないです。いままであなたに費やした時間とお金を返してほしい。そうなると次回から相手にされない可能性が高いです。
投資家なんだから自分で調べなさい、という質問も多いです。市街化区域ですか?登記簿をください、ハザードマップ大丈夫ですか?家賃いくらぐらい取れそうですか?こんな質問するぐらいなら投資家辞めたほうがいいです。自分で調べられないなら向いてないですね。それなら投資初心者なので来店で相談に乗ってもらえませんか、のような問い合わせのほうがまだやり取りできます。
(メールのみOKの人)
メールのみOKの人の気持ちは私はとても良くわかります。私も家を買うとき電話でやり取りしたくないのでメールのみでと言ってましたから。
メールのみだと購入希望者の状況が把握しにくいので提案が難しいのが挙げられます。物件に対する回答のみでその後が続かない、購入の意欲が低いと見なされてしまうかもしれません。
やはり内見希望か来店相談の方が返信が来る可能性が高いでしょう。水面下物件なんてほとんどありませんが、稀に売主さんから預かったばかりの物件、というのが出るので、スーモやathomeで日々物件を眺めて、いい物件が見つからないという人は、不動産屋にしっかり相談してみることをおすすめします。
電話は怖いけどね。
(希望価格と市場がマッチしない人)
その予算でそんないい物件ないよ‥ていう人。
例えば、都内で500万円の一戸建てありますか?のような。無理な要望を言ってくる人が実際にいます。
金がない人に限って要望が多かったりガタガタ文句ばかり言う傾向にあります。営業マンも人間ですから辟易してくるでしょう。
★査定および売却希望者だったら
売却の意欲が低い人、査定のみ希望のひと、不動産が農地・田畑の人、訪問査定を希望しない人、あまり売れなさそうな物件、調整区域の物件
こういった人は後回しになる可能性が高いです。
特に売却の意思が低い人、査定のみ希望のひとは、不動産屋にとって何のメリットもありません。なぜなら売却の仲介は物件が売れないと不動産屋の収入になりません。
ただ査定だけしてほしい人は本当に不動産屋がやる気が出ません。けど将来の種まきとして査定をする場合もあります。
査定するのって時間も労力もかかります。立地条件、法令上の調査、建物の調査などしっかりやると丸一日かかります。それを無料でやってもらおうと思ったら無理なのです。過去の成約事例から簡易的な査定はできますけど、500万~1000万のような幅のある価格になるでしょう。WEBサービスのAI査定を使ったほうがいいです。
売却の意思がなく、査定書が欲しいだけの人(離婚協議のためとか)は不動産鑑定士に有料で依頼すれば、査定書を作ってもらえます。
スーモで問い合わせするとどうなるか?(購入/売却のケース)
スーモで問い合わせした時のその後の流れについて見てください。
まず、スーモからは2種類の問い合わせをすることが可能です。
②自己所有の不動産売却のための問い合わせ(査定)
このうち無視されるケースがあるのは①ですので、①のスーモ問い合わせするとどうなるかの流れを紹介したいと思います。
スーモで売買物件を検索し、興味がある物件をクリックし、資料請求や問い合わせを行います。
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スーモから不動産屋にメールが飛んできます。
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お客様が入力した該当物件情報、価格、備考欄の他、お客様の氏名、電話番号、メールアドレスなどを不動産屋では見ることが出来ます。
この後、不動産屋の応対の流れとしては以下のようになるでしょうか。
不動産屋の応対の流れ
販売物件が何であるか詳細を確認。メールを見るのは事務/営業マン等で様々。事務がメールを受けた場合は販売物件の担当営業マンに取次ぎ。
次に販売物件の在庫確認を行います。自社で売主から直接預かっている物件の場合は当然在庫アリですが、他社が預かっている物件の場合はその他社に在庫確認をします。
スーモからのメールの詳細を確認します。お客様が何を求めているのか希望を把握します。例えば以下のような要望が書かれています。
・物件の資料を送ってほしい
・物件の詳細な住所(枝番)を教えてほしい
・実際に物件を内覧したいので日程調整したい
・部屋内部の写真を見せてほしい
・いつから入居可能か
・固定資産税はいくらか
・賃料はいくらか(投資家の場合)
・仕事で電話には出られないのでメールで返信がほしい
これらの詳細にもとづいてどのように対応するか考えます。
基本的には購入希望者に対して電話をして、詳細をお伝えするとともに、希望条件等のヒアリングを行いアポ取りを目指します。なぜアポ取りするかというと希望をよく聞くことで、実際に市場に出ている物件の他に、ぴったりの物件が出たタイミングで案内することができるようになるからです。
メールでのやり取り希望のお客様には、メールで物件の資料を送って終了となります。
スーモからの問い合わせが無視されているのか?返信がこない場合どうする
返信が来ない場合は、電話で問い合わせするのが一番堅実な方法だと思います。
どうしても無視されてると感じる場合は、他によさそうな不動産屋を見つけることも手段となります。
物件はその不動産屋しか扱えない、という訳ではないからです。
Aという物件を掲載しているABC不動産
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このA物件に対して、XYZ不動産経由で問い合わせすることも出来ます。
(出来ない場合もあるんだけど)
不動産屋とは電話ではなくメールでやりとりしたいが可能か
不動産屋とは基本的メールでやり取りしたいという方も少なくありません。私自身もそうです。
メールのみでのやり取りは可能ですが、人によっては難しい場合もあります。
DXやIT化なんて言われてますが、未だに不動産屋の営業マンは電話が基本で、メールの扱いが難しい場合も多いのです。
また営業マンの高齢化も原因の一つかもしれません。
日中は仕事してるから電話に出られないという人も多いでしょう。そんなときは通話可能な時間帯を知らせておくのも良いでしょう。
不動産屋に無視されない人はどんな人?
ここまで読んでいただけると感づくと思いますが、不動産屋の事業にとって商売になりそうな人は無視されにくい、ということがおわかりいただけると思います。
不動産屋からのメールの返信が来やすいのは、「内見したい、予算やローンの相談をしたい」・・のようにより購入の段階が具体的な人ほど無視されなくなると言えます。残念ながら。。
不動産屋って意外と暇じゃないんです。営業マン1人あたり1ヶ月で捌ける問い合わせ数は多くても40件ぐらいです。
その中で優先度の高い見込客に入れば無視されずやり取りも継続すると思いますね。
不動産屋は販売物件には費用がかからない、一括査定は費用がかかる
この題目はどういうことかというと、不動産屋はスーモやathomeに物件を掲載して広告するわけですが、1件1件の広告費はそれほど高くありません。
例えばスーモの売買物件掲載枠は1枠1ヶ月約1000円です。50枠出稿すると5万円みたいな感じ。
一方、一括査定サービスは1件の問い合わせを受けるのに1万円かかるのです。
売主が自分の不動産について一括査定を申し込むと3社~5社の不動産屋に査定依頼メールが飛んでいきます。
一括査定サービス会社は3~5社の不動産屋から各1万円ずつ取るけど、不動産屋は査定して売主さんと契約できるのは1社のみ。非常に狭き門なので一括査定の申込みは費用が高いからすぐにアポ取りしたいと思うものです。
なので一括査定サービスからの申込みはほとんど無視されないと思って間違いありません。ただし売る意思がないと相手にされないのは前述のとおりです。
不動産屋からメール返信が来ない理由のまとめ
以上のように不動産屋からメール返信が来ないのは理由があるのです。忘れてるケースも多いけど意図的に返事をしないケースの方が多いんじゃないかと思います。
無視するぐらいなら「あなたは優良顧客じゃないから優先度が低いです」って理由を言ってほしいですけどね。