家を売るには不動産屋に相談…と思うかもしれませんが、相続が絡んだ場合は普通の不動産屋に相談するよりも、より良い相談先を探す方法があります。

この記事では相続した実家や空き家の処分を考え始めた方に、パターンに分けてお話していきます。

・実家を相続した都会在住のかた
・相続人が決まり、不動産売却後に現金を分配するケース
・相続人が決まったけど、相続登記がこれからの場合
・相続税の納税資金に困る資産家の奥さん/子ども
・高齢の相続人で、子供の近くに引っ越す予定
・相続して維持管理してきたけど、そろそろ手放したい

実家を相続し、遠方から売るならどこがいい?


親の死去に伴い実家を相続したものの、自分は都会に住んでいて戻る予定がない──そんなケースは少なくありません。特に、築年数の経った家や地方の空き家は、放置すると固定資産税や管理の手間がかかり続けます。いざ売却しようと思っても、「遠方にいながらどうやって進めるのか?」「どこの不動産会社に任せるべきか?」と悩む方が多いでしょう。ここでは、遠方から実家を売却する場合の選択肢や注意点を整理してみます。

遠方に住んでいて実家に戻る予定がない場合の選択肢

選択肢は大きく分けて次の2つです。

1️⃣ 地元の不動産会社に任せる
2️⃣ 今住んでいる地域の不動産会社に任せる

基本的には実家のある地域で営業している不動産会社に依頼するのが一般的です。ただし戻る予定がない場合は「早期売却」や「管理の負担を減らす」ことを重視する方が多く、買取専門業者という選択肢も視野に入ります。

遠方の不動産会社に依頼するメリット・デメリット

実家がある地域の不動産会社に依頼するメリットは、地域相場や買い手事情に詳しく、販売活動がスムーズに進む点です。査定してもらう際も直接内覧してもらって適切な査定が可能ですし、買主の内覧対応も問題ないでしょう。特に地元密着型の会社は地域ネットワークを活かした集客力があります。
一方でデメリットは、やり取りが郵送や電話中心になり、書類提出のたびに負担がかかることです。また、遠方の会社だと「対応の透明性が見えにくい」と感じる人もいます。そのため、こまめに進捗を報告してくれる会社を選ぶのが重要です。

今住んでる近隣不動産屋に、遠隔地の物件売却の依頼も可能

意外と知られていませんが、現在住んでいる地域の大手不動産会社に相談すると、遠隔地の物件売却を引き受けてもらえるケースもあります。大手は全国に支店ネットワークを持っており、担当者が地元支店と連携して販売活動を進めてくれます。メリットは「じっくり顔を合わせて相談できる」安心感があること。ただし、対応エリア外の中小不動産会社だと引き受けられない場合もあるため、まずは大手に確認してみると良いでしょう。

遠方から売却手続きを進めるときの流れと注意点

遠方から売却を進める場合でも、基本の流れは「査定 → 媒介契約 → 販売活動 → 売買契約 → 決済・引き渡し」と変わりません。遠方でも少なくとも査定の時には現地に行って鍵開けや説明等が必要になることを覚えておいてください。契約は持ち回り契約といって遠隔で書類の郵送で行うこともできますし、昨今売主買主ともスマホが使えれば、オンラインで電子契約する手段もありますよ。

相続人が決まり、不動産売却後に現金を分配するケース、売るならどこがいい?

誰が売るかで税金が変わるので要注意

💡まだ相続登記がこれからの場合

相続不動産を誰が売るかによって、税金の扱いが大きく変わります。全員で相続して売ると公平に課税されますが売却するときの手続き(全員の署名・押印・意思確認等)が複雑に

代表者1人に相続させて売ると手続きは簡単ですが、その代表者1人に所得が集中するので、税金面で不利になるケースがあります。

どちらが有利かは物件や相続人の状況によるので、必ず司法書士や税理士に確認してから進めましょう。

税金や相続に詳しい不動産屋に売ってもらう

司法書士・税理士とネットワークがある不動産屋は他の不動産屋よりもかなり有益です。

・相続登記は司法書士が担当
・相続税や譲渡所得税は税理士が担当

→ 不動産会社が窓口になり、ワンストップで対応できると安心です。

⚠注意点

不動産会社は「税金の計算」や「法的判断」はできません(税理士・弁護士の独占業務)
あくまで「注意喚起」や「専門家の紹介」まで。

なので「税金・相続に強い不動産会社」=「士業としっかり連携している会社」と理解しておいてください。

相続登記がこれから!さらに家を売るならどこがいい?

相続人が全員確定して「誰が家を相続するか」は決まったものの、まだ相続登記をしていない──この状況も非常に多く見られます。特に地方の実家などは、すぐに住む人がいないため「とりあえず空き家のままにしておこう」と後回しにされがちです。しかし、2024年4月から相続登記が義務化されたことで、登記をしないまま放置すると過料(10万円以下)が科される可能性も出てきました。売却を考えているなら、まずは相続登記を済ませることが絶対条件になります。

なぜ相続登記が必須なのか?【2024年から義務化】

不動産は登記簿に記録された「名義人」が所有者とみなされます。被相続人の名義のままでは、買主に所有権を移転することができません。そのため、売却する前に必ず「相続人の誰が所有するのか」を決めて、法務局で相続登記を完了させる必要があります。

相続登記の基本的な流れ(遺産分割協議→必要書類→申請)

  • 相続人全員で「誰が家を相続するか」を話し合い、遺産分割協議書を作成する
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など必要書類を集める
  • 司法書士に依頼して法務局に相続登記を申請する

この流れを踏まえて登記を済ませれば、はじめて「売主」として契約できる状態になります。

相続人全員の合意がないと登記できない理由

相続財産は、遺言がない場合、相続人全員の共有財産になります。そのため、不動産を誰が引き継ぐかを相続人全員で話し合う「遺産分割協議」が必要です。一部の相続人が反対していると協議書が作れず、登記が進められません。結果として売却もできず、固定資産税や管理の負担だけが続いてしまうことになります。

司法書士に依頼するメリットと費用の目安

相続登記は専門知識が必要な手続きで、書類も膨大です。司法書士に依頼すれば、戸籍の収集から登記申請まで一括して任せられます。費用の目安は10万~20万円程度(不動産の数や相続人の数で変動)。自分でやることも可能ですが、特に遠方の実家を相続する場合は、地元の司法書士に依頼したほうがスムーズです。

司法書士がいる不動産会社を探してみよう

不動産屋には司法書士が在籍している場合があります。そういった会社であれば相続の話もでき、同時に家を売る手続きもスムーズです。

それに登記が完了していなくても、不動産会社へ相談して売却の流れや相場を確認することは可能です。契約の際には登記が必須なので「司法書士に登記を依頼しつつ、不動産のことも並行して相談」するのがベストです。

相続税の資金に困る資産家の奥さん/子どもが家を売るならどこがいい?


父親や夫が資産家だった場合、相続で受け継ぐ財産の総額が大きくなり、相続税の負担も高額になります。特に自宅やアパート、土地など不動産が多く、手元の現金が少ないと「相続税を払うために不動産を売らなければならない」という状況が起きやすいのです。ここでは、妻と子ども2人が相続人となるケースを例に、相続税と不動産売却の関わりを解説します。

相続人が妻と子供2人、相続分と相続税の計算の仕方

相続人が配偶者と子ども2人の場合、法定相続分は「妻が1/2、子ども2人がそれぞれ1/4ずつ」となります。相続税の基礎控除は 3,000万円+600万円×法定相続人の数 なので、この場合は3,000万円+600万円×3人=4,800万円が非課税枠です。遺産総額がこの額を超えると、その超過部分に対して相続税が課税されます。財産の分け方によって、各人が負担する税額は変わってきます。

更に重要なのは次に妻(母)が亡くなって子2人が相続するときです。母自身ももともと資産家だった場合、亡き父の分を母が相続して、合算したものを子2人が相続する形だと、2回目の相続まで考慮するとより税額が増えるケースもあります。税理士にシミュレーションしてもらってどのパターンがよいか確認してから相続分を考えるようにしましょう。

納税期限は10か月以内!資金を用意できないとどうなる?

相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなった日から10か月以内。この期限までに現金で納税できなければ、延滞税が発生したり、最悪の場合は財産を差し押さえられることもあります。

不動産を売却して納税資金をつくるメリットと流れ

手持ちの現金を減らしたく場合もそうですが、不動産を売却すれば、まとまった現金を一度に得られるため、納税資金を短期間で用意できます。流れとしては、まず相続登記を済ませ、名義を相続人に移すことから始めます。その後、不動産会社に査定を依頼し、仲介で買主を探すか、買取で即金化するかを決めます。相続税の期限が迫っている場合は、スピード重視で買取を選ぶことも検討してもよいです。

どんな不動産屋に売ってもらう?

資産家の相続に関わる不動産売却では、税金や相続に明るい不動産会社に依頼することが大切です。理想は、司法書士や税理士と連携してワンストップでサポートできる会社です。WEBで探してもいいし心当たりがなければ、不動産売却一括査定サイトで複数の不動産屋から情報を集めてもよいでしょう

高齢の相続人で、子供の近くに引っ越す予定ならどこで売る?

配偶者が亡くなり、高齢になって一人暮らしを続けるのが不安になったため、子供の近くへ引っ越す──相続後の実家売却でよくあるケースです。この場合、「今の家をどうするか」が大きなテーマになります。空き家として放置してしまうと、固定資産税や管理の手間がかかり、遠方に住む子どもに管理を任せるのは大きな負担となるため、売却して現金化する選択は合理的です。

引っ越しと売却を同時に進めるときの流れ

1. 相続登記を司法書士に依頼し、名義を自分に変更
2. 不動産会社に査定を依頼し、売却方法を決定
3. 引っ越し準備と並行して販売活動を開始
4. 買主が決まったら、売買契約を締結(買主の融資審査ブレイクが無ければ決済へ)
5. 決済・引き渡しと同時に新居へ入居

特に高齢の場合は、体力面・手続き面で負担が大きいため、家族がサポートしたり、司法書士・不動産会社に任せる体制を整えると安心です。

引っ越し手続きと、引っ越し先を探せる不動産屋?

子どもの近くに(あるいは同居)引っ越しするなら、引越し業者が必要になる。
賃貸に住むなら、引っ越し先のアパートやマンションを探す必要がある。

引越し業者を兼業してる不動産屋はほとんど無いと思いますが、提携してる不動産屋は多いと思います。ただしそれが安くなるという事はありません。たいてい紹介料上乗せなので

それよりも自分で複数の引越し業者から見積もりを取ったほうが良いです。

それと賃貸を探すのは不動産屋に協力してもらうことは可能です。希望を伝えて探してもらうのは理にかなってると思います。賃料や仲介手数料はどこに頼んでも差が出ることはありませんので、どこに頼んでも概ね一緒です。エイブルは仲介手数料が少し安かったはずなので選択肢に入れてみてください。

結局どこで売るか→安心して任せられる不動産会社を選ぶ事が重要

進捗を丁寧に報告してくれるか(家族と一緒に相談できるか) 。また「説明がわかりやすいか」「親身に寄り添ってくれるか」が大切です。大手不動産会社は手続きの安心感、地元密着型は地域相場の強みに注目すると良いでしょう。

相続して維持管理してきたけど、そろそろ限界ならどこで売る?

親から実家を相続したあと、しばらくは空き家として維持管理を続けてきたという方も多いでしょう。月に数回は掃除や換気に通ったり、草刈りをしたり、固定資産税を払い続けたり──最初は「いつか使うかもしれない」と思っていても、年月が経つにつれて負担感が大きくなり「そろそろ手放したい」と考える段階に来ることがあります。

電気・水道などの基本料金や火災保険料もかかり続けます。相続から数年が経過して「ここまで維持してきたけれど、体力的にも経済的にも限界」という声は少なくありません。

「売る」という選択肢を考えるタイミング

相続した不動産をどうするか迷っている方でも、維持費や管理の手間が限界に達したと感じたときが「売る」タイミングです。特に築年数が古い物件は、時間が経てば経つほど市場価値が下がり、買い手が付きにくくなります。売却するなら、できるだけ早い段階で動くほうが有利です。

不動産屋の空き家管理サービスの活用と、売却を任せる

最近では、不動産会社が提供する「空き家管理サービス」を利用できる地域も増えています。定期的な巡回や清掃、通風などを代行してくれるため、管理が大変な人でも安心です。ただし、管理サービスはあくまで「一時的な負担軽減」にすぎず、根本的な解決にはなりません。維持の限界を感じているなら、空き家管理サービスの会社のこれまでの対応が問題なければ、そのまま同じ不動産会社に売却を相談するのが現実的です。

家を売るならどこがいい?選び方のチェックポイント

「家を売るならどこがいいのか?」と迷ったときに大切なのは、複数の不動産会社や売却方法を比較し、自分の状況に合った選択をすることです。とくに相続した不動産を売る場合、売却価格だけでなく、手続きのスムーズさや税金の影響も考慮しなければなりません。ここでは、売却先を選ぶときに押さえておきたい3つのチェックポイントを解説します。

買取価格と仲介価格の差を理解する

不動産を売る方法には「仲介」と「買取」があります。

仲介は、不動産会社が買主を探して市場で売る方法で、一般的に高く売れるのがメリットです。相場に近い価格で売却できる可能性がありますが、買主が見つかるまでに数か月かかることもあります。
一方、買取は不動産会社が直接買い取る方法です。仲介に比べて価格は3~7割程度に下がることが多いですが、最短で数日〜数週間で現金化でき、現況のまま、修繕や残置物撤去なしで引き取ってくれるメリットがあります。

「高く売りたいのか」「早く売りたいのか」、目的に応じて仲介と買取を使い分けることが大切です。

不動産会社を比較する3つの視点(実績・対応・地域性)

売却を依頼する不動産会社を選ぶときは、以下の3つの視点で比較しましょう。

  • ①実績:その会社が過去にどのくらいの売却を手がけてきたか。特に「相続不動産」の売却実績があると安心です。
  • ②対応:説明が丁寧でわかりやすいか、進捗報告をきちんと行ってくれるか。信頼できる担当者がいるかどうかも重要です。
  • ③地域性:地元密着の不動産会社はその地域の相場や買主事情に詳しく、大手は全国ネットワークによる安心感や広告力があります。

👉️ Googleマップで口コミを見るのが1つの参考になります。

相続物件なら司法書士や税理士に紹介してもらうのも有効

相続で受け継いだ家を売る場合は、司法書士や税理士といった専門家に相談することも欠かせません。

  • 司法書士は、相続登記や所有権移転登記を行う専門家です。相続登記が完了していなければ、家を売却することはできません。
  • 税理士は、売却益にかかる譲渡所得税や相続税の特例(小規模宅地の特例、空き家の3,000万円控除など)についてアドバイスをしてくれます。

不動産会社の担当者は売却活動のプロですが、登記や税務の部分までは対応できません。相続物件を売るなら「不動産会社+司法書士+税理士」という体制で進めるのが理想です。

そういった意味では、相続登記で信頼できる司法書士にお願いしたタイミングで、不動産屋を紹介してもらうのが良いと思います。