売り方売り先で違う調整区域の相場を把握する
どうも、宅建士けんまるです^^

市街化調整区域の土地って、いくらくらいで売れるんだろう・・・

ネットで検索しても、はっきりした坪単価が出てこない。不動産会社に査定を依頼すると、提示される金額が会社ごとに大きく違う・・そんなケースも珍しくありません。

調整区域の物件所有者からまず聞かれるのは、やはり「金額面」と、「売れるのか否か」の質問です。

ところが実際には、すぐに答えられるような単純な話ではなく。。

結論から言えば、市街化調整区域の相場は“一律いくら”とは決まらなくて、同じエリアでも、条件次第で価格は大きく変わる感じです。

この記事では、

・市街化調整区域の相場はどうやって決まるのか
・不動産会社はどんなロジックで査定しているのか
・査定は妥当なのか
・仲介と買取では価格がどこまで違うのか

を、実務目線で分かりやすく整理していきます。

「いくらぐらいで売れるだろう‥」「もっと高く売れるはずだ」とお考えの方は、この記事で整理してみてください。

結論|市街化調整区域の相場は「一律いくら」では決まらない

私たち不動産屋も調整区域物件は調べ物が多く、査定が難しいと考えています。

市街化区域の住宅地であれば、駅からの距離や用途が似ていれば、ある程度の価格帯を想像できます。過去の成約事例や、坪単価の目安も比較的そろっていて、「この辺りならこのくらい」という相場感が共有されています。

しかし、市街化調整区域は別

同じ「調整区域」でも、評価は土地ごとに大きく異なって、価格を左右する主な要素は、たとえば次のようなものです。

・地目は何か、土地の形状
・再建築が可能かどうか
・インフラ
・接道条件や立地状況
・農地なら転用が必要か可能かどうか

これらの条件が少し違うだけで、坪3000円が1万円…に評価が変わることもあります。

査定額に幅が出るのは、決して不動産会社が適当に言っているわけではなく、土地ごとの前提条件が違うからです。

なぜネットで相場が出てこないのか

”ネットで見つける相場が、あなたの物件に当てはまりにくい”というのが大きな理由です。

調整区域の相場が見えにくい最大の理由は、取引件数が少ないことにあります。

住宅が自由に建てられるエリアに比べると、調整区域は買主の層が限定されます。そのため売買件数が少なく、成約データも十分に蓄積されません。相場というのは過去の取引が積み重なって形成されるものですから、そもそも取引が少なければ、基準となる価格も見えにくくなります。

さらに、インターネットに掲載されているのは「売出価格」であって、「実際の成約価格」ではありません。特に調整区域では、売出価格と成約価格の差が大きくなることもあるため、ネット情報だけでは難しいのです。

調整区域は“個別事情”で価格が大きく変わる

市街化調整区域では、法的条件や土地の履歴がそのまま価格差になります。

再建築可能で、建物もまだ使える状態であれば、一般住宅用地に近い評価を受けることもあります。一方で、再建築不可で農地、接道条件も弱いとなれば、価格は大きく下がります。

市街化調整区域の土地相場はいくらくらい?

一番気になるのは、やはりここだと思います。

「結局、いくらくらいが目安なのか?」

ただし、先ほどお伝えした通り、市街化調整区域は条件によって価格差が大きく出ます。ですので、ここではあくまで“傾向”としての目安を整理していきます。

市街化区域との価格差の目安


同じ市の市街化区域の中でさえ、駅チカや人気エリアの土地は、人気の無いエリアよりも相対的に価格が上です。例えば㎡あたり2万円のエリアと、駅チカの10万円のエリアぐらいの差はあります。

市街化区域 駅チカ・人気エリア 10万円/㎡(33万円/坪)
人気の無いエリア 2万円/㎡(6万円/坪)

なので、調整区域の土地は、市街化区域の土地の〇割ぐらい・・・ということはできませんが、ただ市街地の一番安い土地よりもさらに安い傾向があるのは言うまでもありません。

市街化区域の人気の無いエリア 1万円/㎡(坪3万円)
調整区域(農地) 500円/㎡(坪1500円)
調整区域(建築可) 5000円/㎡(坪1万5千円)

これぐらいの価格差があっても不思議ではありません。

もちろん、これは全国共通の数字ではありません。都市部か地方かによっても大きく変わります。

重要なのは、「調整区域」というだけではなく、

・土地の広さ、形状、道路づけ、地目、高低差
・建物があるか、建て替えができるか、手入れが必要か
・ローンが使える可能性があるか
・一般の買主が購入対象にできるか

という点が価格を左右しているということです。

売れる土地・売れない土地の価格差

同じ調整区域でも、すぐに買い手がつく土地と、数か月~何年も動かない土地があります。

動かない土地は価格を下げるしかなく、価格差を生む最大のポイントは、「次の使い道の選択肢が明確かどうか」です。

たとえば、

✅再建築可能
✅現在居住中でそのまま住める
✅大通り沿いで事業利用の可能性がある
✅調整区域だけど市街地に近い

こうした土地は、需要が限定されにくく、比較的価格も出ます。

一方で、用途が限定されすぎる土地は、価格を下げなければ買う人が現れません。

つまり、市街化調整区域の相場は「その土地が誰に売れるのか」でも考えてゆきます。

不動産屋はどうやって査定しているのか(基本ロジック)

査定のやり方の話。もし興味があればご覧ください。

市街化調整区域だからといって、特別な計算式があるわけではなく、
実は査定の基本ロジックは、市街化区域でも調整区域でも大きくは変わらなくて。

不動産会社がやっていることは、「直近過去に似た物件がいくらで売れたか」を基準に、対象物件の価格を組み立てる作業です。

まずはその流れを整理してみましょう。

①まず土地か戸建か

最初に確認するのは、査定対象が「土地のみ」なのか、「戸建」なのかという点です。

戸建の場合、価格は土地と建物に分けて考えることが多いです。戸建が古く劣化してる場合はマイナス評価になる場合もあります。

②基本情報を整理する

次に行うのは、現地、登記、図面の確認です。

土地の面積、地目、接道状況、前面道路の種類などを一つずつ整理します。特に調整区域では、地目が宅地なのか農地なのか、再建築が可能かどうかといった点が価格に影響します。

③レインズで成約事例を探す

査定の中心になるのが、近隣の成約事例の確認です。

不動産会社はレインズ(業者専用データベース)を使い、似た条件の物件が実際にいくらで売れたかを探します。同じ市内で、面積や用途が近いものをいくつか抽出し、価格の傾向を見ていきます。

基本的な考え方 → 近隣の成約単価を抽出し、それを対象物件に当てはめる

ただし、市街化調整区域では取引件数が少ないため、十分な事例が見つからないこともあります。その場合は、エリアを広げたり、条件を少し緩めたりしながら参考値を探します。

④㎡単価から価格を組み立てる

抽出した事例から坪(㎡)単価を算出し、それを対象土地の面積に掛け合わせて土地価格を出します

戸建の場合は、そこに建物評価を加えます。建物は築年数が進むほど価値が下がるため、原価から減価分を差し引く形で計算されます。

ここまでの流れは、市街化区域でも調整区域でも基本は同じです。

※AI査定について
昨今、こういった一連の流れをAIが実施してくれるAI査定があります。ただ体感としては平均値は出るけど個別要因の精度は高くない感じ。

市街化調整区域で査定が難しくなる理由

実務感覚としては、調整区域のほうが圧倒的に“読みづらい”感じがします。

なぜかと言うと、

比較がしづらい、個別要件が多い

市街化区域であれば、似たような住宅地の成約事例が複数見つかるので、参考価格を出しやすいです。

しかし調整区域では、宅地、戸建、店舗、駐車場、山林、原野、道が狭い、砂利敷き、道路と接していない、お墓が近い、工場が近い、むしろ工場跡地、農地、農家住宅、分家住宅など、あらゆる案件が持ち込まれます。

こうした前提が違えば、参考になる価格が見つかりにくく、評価もしづらくなる、という感じです。

建築可否で価格が激変する

土地の場合は新築できるかどうか、あるいは中古住宅物件の場合は再建築できるかどうかで、価格を大きく左右します。

建築可能であれば、一般の住宅購入層も対象になります。住宅ローンの利用可能性も高まり、需要は広がります。

同じ面積、同じ立地でも、この一点だけで㎡あたり1万円単位の差が出ることもあります。

地目・農地転用の有無が影響する

地目が宅地であれば比較的シンプルですが、田や畑の場合は話が変わります。

田畑の所有権移転には行政の許可が必要になります。手続きの可否や時間的コスト、許可の見込みが価格に反映されます。買主は「手間」と「リスク」を織り込みますから、その分価格は下がりやすくなります。

仲介と買取では価格はどれくらい違う?


市街化調整区域の物件を売る方法は、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つがあります。

どちらを選ぶかによって、価格もスピードもリスクも変わります。調整区域では特にこの差が大きく出やすいため、仕組みを理解しておくとよいでしょう。

仲介価格は“市場で挑戦する価格”

仲介とは、不動産会社が一般の買主を探す方法です。

普通の不動産屋に話を聞きに行った場合は、仲介で販売する形で査定額を出してくれることでしょう。

価格は、市場で売れる可能性のある水準を想定して設定します。条件が良ければ、市街化区域に近い水準で売れることもあります。

価格は比較的高く狙えますが、「いつ売れるか」は読みにくいという特徴があります。

買取価格は“業者が再販できる価格”

一方の買取は、不動産会社や事業会社が直接購入する方法です。

仲介だと売れにくい場合には、買取が現実的になることがあります。

買取業者は、再販時の価格やリスク、事業にかかるコストをすべて織り込んで価格を提示します。そのため、仲介よりも価格は低くなります。

実務感覚では、仲介想定価格の5割程度になることが多いです。

例えば市場で500万円で売れそうな物件の場合、200万円前後が業者が提示する価格です。

物件によって難易度が上がる例として、さらに以下のような費用分を差し引いて価格を提示する感じです。

例①:草ボーボー→草刈り、樹木の伐採伐根費用・・100万円
例②:窪地→土を入れたり 凸地→土を削ったり・・200万円
例③:中古戸建の修繕にかける費用300万円

その代わり、現金化までのスピードと確実性は高いです。

💡[メリット]また売主の測量が求められるケースが多いのが慣習ですが、測量未実施でもOKだったり。また、契約不適合責任を免責できるケースも多いため、心理的負担は軽くなります。

どちらが正解かは目的次第

「高く売りたい」のか。
「早く確実に手放したい」のか。

ここで選択は変わります。

調整区域では、最初から買取を前提に動いた方が合理的なケースもありますし、条件が良ければ仲介でじっくり売る方が良い場合もあります。

以下のようなケースでは買取業者を当たってみるのがよいでしょう。

・土地活用が難しい(活用するのに大きな費用がかかる)、
・土地が広すぎて一般人が買う想定が難しい
・建物が属人的・限定的・劣化がひどく、次買う人が扱いずらい

<仲介を探すなら>

<全国買取の大手>

まとめ|市街化調整区域の相場は「まず条件確認」から

ここまでお伝えしてきたように、市街化調整区域の土地相場は、単純に言えるものではありません。

まずやるべきことは、自分の土地がどんな条件なのかを把握することです。

査定額に差が出ても慌てなくていい

複数社に査定を依頼すると、金額に差が出ることがあります

ですが、これは必ずしもどちらかが間違っているという意味ではありません。

・仲介で時間をかけて売る想定なのか
・買取前提で早期売却を想定しているのか

あるいは両方を提示してくれる業者もいます。「この金額はどういう売り方を想定しているのか?」「その根拠」を確認してください。

まずは3つをチェック

調整区域の売却で、最低限確認しておきたいのはこの3つです。

✅建築は可能か、用途があるか
✅農地なら売却は可能か(農地はウチでは無理ですって扱わない不動産屋もある)
✅住宅ローン利用は現実的か

どれもNGで、もし「売れないかも…」と感じているなら、業者買取を打診してみても悪くありません。

👉 より詳しく知りたい方は
「市街化調整区域の土地建物が売れない、を解決していく」

👉 そもそも自分の物件が“訳あり”なのかを整理したい方は
「私の物件って訳あり?!訳あり物件の売却ガイド」

からご覧ください。