この記事では不動産屋のよくある「違法」行為を紹介したいと思います。
消費者としてはこういった行為をされたときは気をつけて欲しいのと、
また不動産屋勤務の人間なら、こういった行為に直面したらやらないようにコンプライアンスを守るよう自制して欲しいです。

手付金を貸し付けるのは違法

不動産売買の契約時に、買主は売主に手付金を渡すことになります。

このとき手付金が無いからと、宅建業者が手付金を貸して契約を誘導することは違法になります。

業務に関する禁止事項 宅建業法47条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。 三項 手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為

手付金の額は、売買代金の5~10%が平均的です。1000万円の物件なら50万円を契約時の手付金とするケースが多いと思います。

このとき買主が融資を得て物件を購入するような場合や、手持ちの現金がなくギリギリで購入したいような方ですが、直近の50万円の現金が用意出来ない場合があるのです。

契約日の直前にそんなことを言われると、契約できません。宅建業者としては何としてもこの取引を成立させたいとの思いで、
「それではこっそり自分の預金から手付金相当の額を貸しますので、それを手付金にしてはどうですか?」

みたいなことを言ってしまう営業マンもいます。営業マンの成績にも直結しますので会社には内緒で違法行為をしてしまう場合もあります。

宅建業法でも禁止されていますし、業務停止になる恐れがある行為です。

手付金を用意できない買主としてはメリットになると思いがちですが、身の丈に合わない出費により資金や財務状況が追い詰められてしまう要因になりえます。

こんな事を言ってきた業者がいたら県に通報してやりましょう。

また融資承認されなかったときや、手付金リリースで契約解除になった場合、営業マンはどうやって取り戻すのでしょう。

誇大広告は違法

不動産広告において、事実と異なる情報や過剰に魅力的に見せる表現を使うことは違法です。

相手が実際に誤認してなくても、誇大広告の表示をしただけでNGです。意図してなくても誇大広告になってしまう場合がありますので、宅建業者としても気をつけなくてはいけません。(宅建業法32条誇大広告等の禁止)

業界にはびこっているのが「おとり広告」でしょう。安く条件が良さそうな物件を表示して問い合わせと個人情報を集め、 「その物件はすでに交渉中になってるので紹介できない」「他に良い物件があるので、これを案内できる」 といった別の売りたい物件に流すケースです。

ただし本当に既に交渉中や契約済で、2番手・3番手の余地や、契約解除の余地があるから、まだ物件を掲載せざるをえない‥という広告もあるので、ただちに違法と見抜けないものもあります。消費者としては不快になるんですけどね‥

あとよくあるのは「徒歩◯分」の表現。法律では80mにつき徒歩1分として表示することが義務付けられています
本当は徒歩15分かかるのに、徒歩9分などと記載するのはNGです。

あとは宅建業者がロクに物件を調べずに掲載してるケースで、都市計画法や建築基準法で制限されてるエリアなのに、そのデメリットを表示しないで掲載するのもNGですし。

将来ここにイオンモールが出来るとか、バス停が出来る予定といった不確かな情報を伝えるのも駄目ですね。

重要事項説明の不備

重要事項説明まわりは重要なので宅建業者としてもしっかりやってると思いたいですが。

重要事項説明というのは不動産屋が買主に、契約より前に、不動産に関する重要な事項を説明するプロセスです。宅建業法で義務化されているのでこの説明は必ず行われるはずです。

消費者としては、契約前に重要事項説明が宅建士により行われたかどうかをチェックすることです。

例えば契約前に行う重要事項説明で、法律上説明が必要な事項を省略したり、書類を交付しなかったりすることは違法です。

重説は宅建士が行いますが、その宅建士が宅建士証を買主に提示しないのも違反になります。

購入申込をしてから重要事項説明を受ける日までの期間が短い場合、宅建業者も準備に十分な時間が取れず、適切な説明ができない可能性があります。そのため、きちんとした説明を受けないまま購入を進めるのはリスクが伴います。注意が必要です。

過剰な営業(威迫・しつこい勧誘)

顧客が断っているにもかかわらず、しつこく電話・訪問・勧誘を繰り返すこと、契約するまで帰らないと居座ったりするのは完全に違法になります。(宅建業法47条の2や施行規則第14条の11)

迷惑になる時間(早朝や夜間)に電話したりするのも駄目です

もしそのようなことがあれば、正式に契約しないと意思表示して帰ってもらい、今後は取引しないと告げるのが良いかと思います。

あまりにもひどい場合は都道府県に通報してやりましょう

不動産屋は個人の営業マンにノルマが課せられている場合もあり、多少の押し売りは厭わない人もいますので、間違えても買うと言わない事です。

ちなみに売主が不動産屋で買主が一般人の場合、クーリングオフ(無条件で契約を解除できる)期間が適用されます。 消費者は一定の保護がありますので安心してほしいと思います。

不当な手付金の請求は違法

売主が不動産屋の場合、手付金の額は売買代金の20%を超えてはいけません。(宅建業法39条 手付の額の制限等)

もしあなたが買主で、売主が宅建業者のときに手付金の額が20%を超えて請求されたときは違法ですので、きっぱりと断り、都道府県に通報することが良いと思います。

不動産の囲い込みは違法行為か?両手仲介は違法ではない

囲い込みは一般消費者にはわかりにくいのですが、どういうことか説明します。

不動産屋が売主と買主の両方から仲介手数料を得るために、不動産情報を他の会社に共有せず、自社だけで取引を進めようとする行為を指します。

売主ができるだけ多くの人に物件情報を広告してほしいと依頼しますが、
不動産屋は、他の不動産屋から購入の問い合わせがあっても、「もう商談中です」等と言って紹介を断ります。

実際には商談中ではないことも多く、自社で買主を見つけるために時間を稼いでいるのです。

結果として、売主は他の買主と出会う機会を奪われる可能性があり、買主も良い物件情報にアクセスできなくなる、ということが起こるのです。

これが「囲い込み」と言われる行為です。売主も買主も裏でこのようなことが行われている事は検知することができませんので、かなり悪質です。

2025年1月から国土交通省が規制を強化することになりました。
宅建業法施行規則の改正が施行され、売主から預かった物件をレインズへ登録する際に「販売中」や「申し込みあり」といった情報を入力します。

例えばこのとき申し込みが無いのに「申し込みあり」として、不動産屋からの問い合わせを拒否するような設定をするなど、虚偽情報の登録が確認された場合、処分の対象となりました。

レインズに載せないのは違法

売主から物件を預かったとき「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」を締結した場合は、
専任なら7日以内、専属なら5日以内にレインズという国のサイトに物件情報を登録することが義務付けられています。
また登録すれば登録済証が出力されるので、それを売主に渡す義務があります。(宅建業法34条の2)

売主として不動産屋と上記の媒介契約を締結した後は、頃合いでレインズの登録済証をくださいと言ってみましょう。 すぐ出てこないようであれば未登録の可能性濃厚です。

私も不動産を売却した時に、大手の不動産屋だったけど登録済み証をもらいませんでしたので、案外横行してるのでは、とも思います。

ちなみに私が勤務している不動産屋では私が登録しているので大丈夫です(笑) それに専任媒介よりも一般媒介のほうが私は好きです。事務作業が減るし営業活動の報告義務もなくなりますからね。

不動産の仲介手数料が違法になる金額とは

不動産屋が受け取れる仲介手数料には上限が決まっています
その限度額を超えて報酬を受領することは違法で、100万円以下の罰金となります。(宅建業法81条1項2号)

ココでいくつかのパターンで仲介手数料の上限を見ていきます。

① 売買仲介の場合
売買金額が800万円以下の場合:
売主から受け取れる報酬33万円(税込)
買主から受け取れる報酬33万円(税込)

売買金額が800万円以上の場合:
売主から受け取れる報酬は、売買金額×3%+6万円+消費税
買主から受け取れる報酬は、売買金額×3%+6万円+消費税

例えば、1000万円の取引を成立させたら: 1000万×3%+6万円=36万円+消費税3万6千円 これが売主買主の両方から受け取れるので、合計すると79万2千円です。

② 賃貸仲介の場合
貸主と借主から受け取れる報酬の【合計】限度額は、1ヶ月分の賃料+消費税となります。

例えば、家賃8万円の場合は:

8万8千円が両方から受け取れる限度額
貸主から4万4千円
借主から4万4千円
とするのが通常です。

ただし、居住用建物の場合の特例で、貸主か借主かどちらかの承諾を得ていれば、片方から1ヶ月分+消費税を受け取れる事ができます。

例えば、借主に8万8千円くださいと言って、同意が得られれば、借主に8万8千円請求できるのです。

ちなみに、家賃とは別で「管理費」が設定されてる場合、管理費は家賃には含まれませんので、仲介手数料にも含まれません。
管理費込みで計算した仲介手数料はNGとなります。

土地や事業用の店舗の場合はまた違ったルールになりますが、代表的な2パターンで解説しました。

不動産屋からこれ以上の報酬を請求された場合は確認することをおすすめします

不動産の広告宣伝費(ad)は違法になるか

売買でも賃貸でも仲介手数料以外の報酬は受け取ってはならないとされています。

ただし依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、報酬とは別に受け取ることができるとされています。

賃貸でよくあるケースですが、前章でお伝えした通り、家賃8万円の場合
・借主から同意を得て家賃1ヶ月分の8万と消費税8千円を受け取ります。
・大家からは広告宣伝費(いわゆるad費)として、1ヶ月分の8万8千円を受け取ります。

これで17万6千円の報酬を受け取ることができます

大家から「2ヶ月分払うから客付け(集客)して」と言われて頑張って広告する不動産屋もいますね。
ですので、特別の依頼によって行う広告宣伝費は違法ではないということです。

同意がなければ違法ですが。

不動産屋のよくある違法行為まとめ

他に違法の最上級は、無免許営業や名義貸しなどが該当します。

今回の記事では本当によくある違法行為をまとめました
私も勤務先でその行為をしている営業マンを見かけたことがあります。そいつは程なくして会社を辞めていきましたけど。

消費者としては、大きな金額が動く取引なので、こういった違法行為をする不動産屋の仲介は依頼しないことが重要です。
無用なトラブルに巻き込まれないように気をつけましょう。