
ども。宅建士けんまるです。
「再建築不可なら、いっそ壊して更地にした方が売れるのでは?」
これは、売主さんから本当によく聞かれる質問ですし、私たちも”更地にした場合の土地としての価値”は試算します。
古い建物が残っていると見た目も悪いですし、買い手も付きにくそうに感じます。だったら思い切って解体して、きれいな土地として売り出した方がいいのではないか。そう考えるのは自然な流れです。
しかし、再建築不可物件の場合、解体が正解とは限らない訳で。
建物を壊しても、「新しく建てられない土地」であること自体は変わらないからです。むしろ解体したことで、固定資産税の負担が増えたり、使い道がさらに限定されたりすることもあります。
解体工事は、数十万円から、場合によっては200万円を超えることもある大きな決断です。
この記事では、再建築不可物件を「解体したら売れるのか」という疑問に対して、更地化のメリット・デメリットを実務目線で整理していきます。
焦って壊す前に、まずは構造を理解しておきましょう。
結論|再建築不可は「解体したら売れる」とは限らない
結論から言うと、再建築不可物件は解体すれば必ず売れる、という単純な話ではありません。
再建築不可である以上、住宅を建てたい人にとっては、その制限はそのまま残ります。
つまり、問題の本質が「古い建物」ではなく、「再建築できないこと」にある場合、更地にしても状況は大きく変わらないのです。
むしろ、古家付きのままの方が売りやすいケースもあります。まだ住める状態であれば賃貸として活用する前提で買う人もいますし、投資家にとっては“建物がある”こと自体に意味がある場合もあります。
再建築不可物件は、単なる土地としてではなく、「現況で何ができるか」「建物有を欲しがる人はどんな人か」という視点で評価されます。
再建築不可で「解体」を検討する前に確認すべきこと
解体は後戻りできない判断で、しかも費用もかかります。だからこそ、まず確認すべきことがあります。
②更地にしたあとに“使い道”がある土地なのか。
この2点を整理しないまま解体してしまうと、「壊さなければよかった」という結果になることもあります。(マジで
本当に再建築不可か?をチェックしよう
まず最初に確認すべきなのは、「完全な再建築不可なのかどうか」です。
前の記事でも触れましたが、不動産屋に「道路づけが難しいので再建築不可ですね」と言われた時、すべてが絶対に建て替えできないわけではありません。
不動産会社の担当者の話が法的に確定した話なのか、実務上の判断なのかは分かりません。
市役所の建築指導課で道路種別と接道状況を確認し、またご自身でも土地の間口を測ったりして、例外制度の可能性がないかを一度整理してからでも、解体の判断は遅くありません。

解体後に用途がある土地か
次に考えるべきなのは、更地にした後の用途です。
再建築不可の土地は、住宅用地としての価値は制限されますが、まったく使えないわけではありません。
・業者の資材置き場にできるぐらい広い
・近隣住民の家庭菜園用地になりえる
・隣地を買ったら、活用の幅が広がる
といった例も。
ただし、これらの用途が成立するのは、周辺環境や土地形状が合っている場合に限られます。
住宅地の奥まった旗竿地などでは、駐車場としても使いづらく、更地にしても用途が見つからないこともあります。
解体後にどんな買い手が想定できるのか? この視点を持たずに更地にすると、単に“建物がなくなった再建築不可土地”が残るだけになってしまいます。
隣地買い・条件変更で再建築可に寄せられないか
もう一つ検討したいのが、条件を変えることで再建築可能にできないか、という視点です。
接道幅が足りない場合は、隣地を一部取得することで解決するケースもありますし、また、私道持分の整理や通行承諾の取得で建築可能になる可能性もあります。
もちろん、すべてがうまくいくわけではありません。しかし、解体してしまうと、こうした交渉の余地も狭くなることがあります。
再建築不可物件の解体更地化のメリット
ここまで読むと、「じゃあ解体はやらない方がいいのか」と感じるかもしれません。しかし、更地にすることにメリットがないわけではありません。
再建築不可物件であっても、建物の状態や立地によっては、解体した方が動きやすくなるケースもあります。問題は「解体するかどうか」ではなく、「どんな状況なら解体が有効か」を見極めることです。
①買主が土地の状態を把握しやすくなる
古い建物が残っていると、どうしても「リフォーム費用はいくらかかるのか」「構造は大丈夫なのか」といった不安が先に立ちます。
とくに再建築不可物件では、建て替えができないため、既存建物の状態がそのまま価値に直結します。雨漏りや傾きが疑われる建物が残っていると、それだけで敬遠されることもあります。
一方、更地にしておけば、買主は「土地そのもの」として判断できます。余計な修繕リスクを考えなくてよいぶん、検討しやすくなるのは確かです。
②老朽化リスクの説明が減る
古い建物があると、契約時の説明事項も増えます。
過去の修繕履歴や不具合、シロアリ被害の有無など、売主が把握している範囲で説明する必要がありますし、契約不適合責任の扱いも問題になります。
更地にしてしまえば、建物に関するリスクは基本的に消えます。取引条件をシンプルにできるという意味では、精神的な負担も軽くなります。
③近隣や投資家への売却がしやすくなることもある
再建築不可物件は、一般の住宅取得層よりも、近隣や投資家が買主になるケースが多い傾向があります。
たとえば、隣地の方が庭を広げたいと考えている場合や、資材置き場や月極駐車場として活用したい事業者がいる場合です。
こうした用途では、古家があるよりも更地の方が扱いやすいこともあります。
ただし、これは立地や周辺状況に強く左右されます。住宅街の奥まった旗竿地などでは、更地にしても用途が広がらないこともあります。
再建築不可物件の解体・更地化のデメリット
更地にすればスッキリしますし、「売りやすくなりそう」という印象はあります。しかし、再建築不可物件の場合、更地化には無視できないデメリットもあります。
解体は一度実行すると元に戻せません。だからこそ、メリットだけでなく、コストやリスクも正確に理解しておく必要があります。
解体費用は回収できる保証がない
もっとも現実的な問題が、解体費用です。
木造住宅でも数十万円から二百万円以上かかることは珍しくありません。鉄骨造やRC造であれば、さらに高額になります。
問題は、その費用が売却価格にそのまま上乗せできるわけではない、という点です。
再建築不可物件は、もともと買主層が限定されています。更地にしたからといって、その分高く売れるとは限りません。
解体費用に200万円かかり、土地が100万円で売れた場合、100万の赤字になっちゃいます。それでも今後の管理が不要になって楽、という決断をする売主さんもいますけど。
固定資産税が上がる可能性がある
建物が建っている土地には、住宅用地特例が適用され、固定資産税が1/3に軽減されていることが多いです。
ところが、更地にするとこの特例が外れ、税額が上がることがあります。
売却がすぐに決まれば問題は小さいですが、売れずに数年保有することになると、その差は無視できません。
建物の固定資産税が消えた分、土地の税金が増える・・差額がプラスかマイナスになるかは計算してみないとわかりません。
「壊したら売れるはず」という前提が外れた場合、税負担だけが残ることになります。
用途がさらに限定されることもある
意外に多いのが、「古家付きの方がまだ使い道があった」というケースです。
たとえば、賃貸として最低限回せる建物が残っていた場合、投資家はその“現況収益”を評価します。
しかし、更地にしてしまうと、再建築できない土地である以上、新たな建物は建てられません。収益も生まれません。
つまり、建物を壊すことで、かえって用途が狭まります。
解体後に追加費用が発生するリスク
解体工事では、想定外の追加費用が発生することもあります。
地中埋設物が見つかったり、古い井戸や浄化槽が出てきたり、2006年以前の建物だとアスベスト含有建材が確認されたりするケースです。
見積もり段階では分からず、工事が始まって検査してから費用が増えることもあります。
特に1960~1980年前半の建物はアスベストのピークなので、解体前にアスベスト検体検査がおすすめです。
【ケース別】解体した方がいい/しない方がいい判断基準
ここまで読んで、「結局うちはどうすればいいのか?」と感じている方も多いと思います。
そこで、実務でよくあるパターンをもとに、「解体した方がよいケース」と「解体しない方がよいケース」を整理してみます。
解体した方がいいケース
まず、建物の状態が著しく悪い場合です。

屋根が落ちそう、雨漏りがひどい、傾きが明らか、といった状態であれば、古家としての価値はほぼありません。
(築古投資家でたまにそういう物件が好物な人もいますけど。。)
近隣に迷惑がかかるリスクの方が大きい場合は躊躇なく解体の決断をした方がよいと思います。
それから「訳あり」物件も解体したほうが近道だと思います。事件・事故・孤独死・悪臭・共有・近隣トラブル等も重なる場合はいったんリセットの意味での解体が功を奏する場合もあります。
またゴミ屋敷状態になっている物件は約50万円かけて残置物撤去もおすすめです。
現況のままでは内覧すら難しく、印象が極端に悪くなります。
解体しない方がいいケース
一方で、建物がまだ使える状態であれば、解体は慎重に考えるべきです。
たとえば、最低限の修繕で賃貸に回せる物件であれば、投資家にとっては価値があります。再建築不可であっても、現況収益があれば評価されます。
また、近隣住民が「とりあえず今のままでいいから買いたい」と考えている場合もあります。敷地拡張や物置用途など、建物があっても支障がないケースです。
迷ったら「先に売り出して反応を見る」
売主的にもっとも機会損失が少ないのは、まずは現況のまま売りに出し、市場の反応を見るという方法です。
買主が「建物は不要なので更地にしてほしい」と言えば、その段階で解体を検討しても遅くありません。
最初から自腹で解体してしまうと、その費用を回収できる保証がありません。売買契約後に手付金を貰ってからそのお金で解体するという方法もOKですので。
売却方法で結論が変わる|仲介と買取での“解体の意味”
再建築不可物件の場合、「解体するかどうか」は売却方法によって答えが変わります。
同じ物件でも、一般市場で仲介するのか、専門の買取業者に売るのかで、解体の意味合いはまったく違ってきます。

・高く売りたい場合→一般市場
・早く現金化したい、あとくされなく売りたい→買取
という判断基準でよいかなと思います。
仲介で売る場合は“先に壊さない”方が安全
一般市場に仲介で出す場合、解体を急ぐ必要はありません。むしろ、現況のまま出して反応を見る方が合理的です。
買主の中には、「建物を活かして使いたい」「最低限の修繕で賃貸したい」と考える人もいます。こうしたニーズは、更地にしてしまうと消えてしまいます。
また、購入希望者が「更地にしてほしい」と条件提示してきた場合、その段階で解体を検討すればよいのです。契約条件として「売主解体更地渡し」とすることもできます。
なので解体費用200万円ほどあらかじめ上乗せして売り出すのは上策です。
先に自腹で壊してしまうよりも、買主の意思を確認してから動く方が、リスクは小さくなります。
買取業者に売るなら解体は不要なことが多い
再建築不可物件を扱う買取業者は、現況のまま引き取る常連です。
建物不具合、契約不適合等の責任を売主に要求しない前提の契約にすればよいのです。
現金化までがスピーディなので、急ぎたい場合はおすすめです。
彼らは、建物の有無も含めて再販戦略を組み立てます。自社で解体することもありますし、そのまま活用する場合もあります。そのため、売主が先に解体してしまうと、「余計なコストをかけた状態」で持ち込むことになり、必ずしも査定額が上がるとは限りません。
実務感覚としては、買取を視野に入れているなら、解体前に査定を取るのが鉄則です。
まとめ|再建築不可は“解体が正解”ではなく、戦略で決める
再建築不可物件について、「壊せば売れる」という単純な答えはありません。
重要なのは、以下の流れ。
・現況のままでの売却可能性を探る
・仲介か買取か、売却ルートを先に決める
解体は最後の選択肢でも遅くありません。まずは「壊さない前提」で可能性を洗い出すことが、結果的に「可能性」を守る近道になります。
再建築不可の仕組みや、可能にする方法、売却戦略を体系的に整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
👉 「再建築不可の理由とは?可能にする方法や使い道、売却・買取に朗報」
また、「自分の物件は訳ありなのか?」という視点から全体を整理したい方は、
もあわせて読むことで、全体像が見えてきます。
再建築不可と言われたときこそ、焦らず、構造を理解すること。それが最善の第一歩です。







