2025年の宅建試験が終わりましたね。今年は34±1点が合格だとか。例年のように約18%が合格者になりそうです。出題が個数問題が多く難易度が上がったと言われましたが。宅建業法は満点目指していきましょう。
さて、宅建試験の出題範囲はその年の4月1日施行日時点のものとなります。なので宅建試験に関連する法律で令和8年(2026年)4月1日までに施行されるものから変更があった部分を調べなければいけません。
宅建試験むけのテキストって新規挑戦者向けのテキストなので、去年との差分を明示してないことが多いのがつらいところです。再挑戦組は新テキストをやりなおすか、自分で差分を見つけないといけなかったりしますね。
さて、この記事では令和7年(2025年)→令和8年(2026年)試験での変更点を見つけたら更新していきます。
宅建業法・施行令・施行規則の変更点
宅地建物取引業法の変更点
刑法の改正に関連する部分
宅建業法宅建業法は令和7年6月1日施行、令和8年4月1日施行の2つがありますが、主な変更点は「刑法の改正」に関連する以下の部分です。
(免許の基準)
第五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。
五 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者(宅地建物取引士の登録)
第十八条 試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
六 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
他条文にも同様の記述があるのですが、
刑法の「禁錮刑」「懲役刑」の2つがあわさって「拘禁刑」という表現に変わりました。

それに伴って宅建業法でも記述を変えています。関連する記事は以下にありますのでチェックしてみてください。
・宅建業の免許の基準(欠格事由)
・宅建士の欠格事由
・罰則
重要事項説明のマンション部分に追加あり
マンションの管理の委託先についての説明が追加になっています。
従来:管理の委託先の氏名・住所を説明
追加:管理組合から委託を受けて管理事務を行う「管理業者管理方式であるか否か」の説明
管理者が業者であるばあい、工事の発注者と受注者になりえ、利益相反の懸念があることを伝えるものとなっています。
宅建業法施行令も影響なしか
令和7年10月1日に「港湾法の一部改正」にともなって、不動産売買の重要事項説明に関する項目に変更があります。見た感じ試験に大きな影響はなさそうです。
宅建業法施行規則は一部
こちらは最終の施行が令和7年12月1日です。
宅建業者票のサイズが変わりました。試験とは直接関係ないと思います。
以前はA3サイズよりも大きいサイズが求められていたのですが、サイズがA3に小さくなりました。→様式
民法 公正証書遺言のオンライン化が開始 令和7年10月1日施行
公証役場に行って公正証書遺言を作成していましたが、高齢者が行くのが難しい部分もあり、オンラインのWEB会議を使っての作成が可能になりました。
遺言者 → 公証役場へ来てください → 公証人が対面で作成
【2025年10月以降】
遺言者 → 自宅でオンライン面談 → 公証人がオンラインで作成 → 電子署名で遺言成立
試験対策としては「オンラインでも化」という部分でしょうか。
区分所有法 いろいろ改正 令和8年4月1日施行
いくつかの改正がありますので、解説していきます。(法務省のページ)
国内管理者についての規定(第6条の2)
海外在住の区分所有者が増え、連絡不能・管理不全が増えているため、「国内に代理人を置かせる」制度を新設した。
1. 誰が国内管理人を置く必要があるか(第1項)
①海外に住む区分所有者(住所・居所が国外)
②これから海外に転居する区分所有者
③会社の場合:本店が海外にある法人
こうした「海外の区分所有者」は、 国内に住む人を“管理人(代理人)”として選ぶことができる。
※義務ではなく“できる”だが、実務上は管理組合が規約で義務化する流れになります。
2.国内管理人に与えられる権限(第2項)
国内管理人は、次のことができます。
① 保存行為(最低限必要な管理行為)
② 専有部分の利用・軽微な改良行為(性質を変えない範囲)
③ 管理組合からの通知を受け取る
④ 総会で議決権を行使できる(国内管理人が代わりに投票できる)→ 総会の成立率が上がり、管理不全を防げる
⑤ 区分所有者が負う債務の弁済を代わりに行える→管理費・修繕積立金の支払いなど
3. 国内管理人を選んだら、管理者(または管理組合法人)へ通知(第3項)
海外在住の区分所有者が国内管理人を選任したら
→ 氏名・住所などを管理者へ必ず知らせる必要がある。
4. 国内管理人と所有者の関係(第4項)
原則は「委任契約」と同じ扱い。
議事(39条)
区分所有法全体に言えることですが、決議要件に関して、所在不明区分所有者が多かったり、出席率・議決率が低いと、集会の決議が進みにくい、という課題がありました。その部分が柔軟に設計された形に変更されました。
具体的には「集会に出席した者の多数決」で決議が可能になっています。
区分所有者および議決権の●●の多数による集会決議
みたいになってた部分が、
【改正後】
区分所有者&議決権の過半数が参加する集会で
区分所有者および議決権の●●の多数による集会決議
のように変更になっています。
また、”区分所有者”と記載の部分は「議決権を有していないものを除く区分所有者」と明記されており、例えば同居の家族等の議決権がない人は含まれません。
39条の条文の新旧を載せました。
| 新 | 旧 |
|---|---|
| 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。 | 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。 |
ということで、集会の議事は出席した「区分所有者の過半数」+「議決権の過半数」で決定するのがベースとなっています。
他の規約に定めた部分については次の章を見て行ってください。
共用部分の管理・変更行為についての改正(17条)
「共用部分の管理・変更行為の集会の決議」について改正されています。
新旧で表にしました。赤字が変更部分です。
| 新 | 旧 | |
|---|---|---|
| 管理行為 | 出席した区分所有者および議決権の各過半数の集会決議で決める | 区分所有者および議決権の各過半数の集会決議で決める |
| 変更行為 (軽微変更) |
出席した区分所有者および議決権の各過半数の集会決議で決める | 区分所有者および議決権の各過半数の集会決議で決める |
| 変更行為 (重大変更) |
集会の成立要件: 区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を持つものが出席。(規約で過半数超に定めることができる) 決議要件: |
区分所有者および議決権の 各4分の3以上の集会決議で決める (区分所有者の定数は規約で過半数まで減ずることができる) |
| 17条3項: 共用部分の変更に伴い必要となる専有部分の保存行為(性質を変えない範囲においてその利用もしくは収去を目的とする行為)は、規約に特別の定めがあるときは集会の決議で決める ★1 |
||
| 変更行為 (瑕疵・高齢者) |
区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数をもつ者が出席し、出席した区分所有者およびその議決権の各2/3以上の賛成 ★2 | なし |
補足
★1・・「共用部分の変更に伴い必要となる専有部分の保存行為」というのは、例えば、給排水管交換で専有部分の壁や床を一部開口するような行為が該当しますね。
★2・・共用部分の設置若しくは保存に瑕疵があることによつて他人の権利若しくは法律上保護される利益が侵害され、若しくは侵害されるおそれがある場合におけるその瑕疵の除去に関して必要となる共用部分の変更。
高齢者、障害者等の移動若しくは施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動上若しくは施設の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要となる共用部分の変更。
規約の設定、変更及び廃止(31条)
| 新 | 旧 |
|---|---|
| 規約の設定・変更・廃止には、区分所有者&議決権の過半数が参加した集会で、区分所有者および議決権の各4分の3以上の集会による決議が必要 (”過半数”と”4分の3以の部分は、規約でこれを上回る割合を定めることもできる) |
規約の設定・変更・廃止には、区分所有者および議決権の各4分の3以上の集会による決議が必要 |
建物の一部が滅失した場合の復旧等(61条)
| 新 | 旧 | |
|---|---|---|
| 建物の価格の1/2以下の減失 |
各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。 集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。 ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに「共用部復旧決議」「建て替え決議」「一括建て替え決議」があつたときは、復旧することができない。 |
|
| 建物の価格の1/2超の減失 |
区分所有者&議決権の過半数が参加する集会で、 区分所有者&議決権の各 2/3 以上の多数で、 減失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。 |
集会において、 区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、 減失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。 |
建替え決議(62条)
| 新 | 旧 |
|---|---|
|
(議決権を有しないものを除く)区分所有者および議決権の各5分の4以上で決定
例外的に各4分の3以上で決定になるケース |
区分所有者および議決権の各5分の4以上で決定 |
建物更新決議(64条の5)
建物更新決議 = 「区分所有者5分の4」 + 「議決権5分の4」 で可決。
建物の更新とは:共用部分を作り直し、全専有部分の形状・面積・位置を変更する大規模更新のこと。
建物取壊し敷地売却決議(64条の7)
敷地利用権を共有しているマンションで、
建物を取り壊して敷地ごと売却するには、
「区分所有者の5分の4以上」+「議決権の5分の4以上」+「敷地利用権持分価格の5分の4以上」の賛成が必要。
取壊し決議(64条の8)
取壊し決議:「区分所有者の5分の4以上」+「議決権の5分の4以上」で可決。
所在等不明区分所有者の除外(38条の2)
この条文は新しくできたもので、ざっくり言うと、「所有者が行方不明のとき、残りの区分所有者だけで集会の決議ができるようにする制度」、という訳です。マンションの総会が成立しない問題を解消するための条文と言えます。
| 裁判所に申し立てできる人 | 一般の区分所有者や管理者 |
|---|---|
| 裁判所に求めること | 「行方不明の区分所有者を議決権無しとして扱ってよい」という裁判 |
| 裁判所が「所在不明」と認定したら | その人は議決権を持っていないものとして扱う |
また、一般区分所有者が申し立てた場合は、速やかに管理者へ通知する義務があり、管理者がいない場合は、建物内に掲示することが規定されています。
所有者不明/管理不全などの場合の管理命令(46条)
所有者が不明であったり、管理不全などの場合に、「裁判所」が利害関係人からの請求により「管理人」による管理を命ずることができます。
どんな状況のときに、管理人が命じられるかを表にしました。
| 項目 | 所有者不明専有部分管理命令 | 管理不全専有部分管理命令 | 管理不全共用部分管理命令 |
|---|---|---|---|
| 選任される管理人 | 所有者不明専有部分管理人 | 管理不全専有部分管理人 | 管理不全共用部分管理人 |
| 発動原因 | 所有者が不明・所在不明 | 管理が不適当で他人の権利等を侵害・侵害のおそれ | 共用部分の管理が不適当で権利侵害のおそれ |
| 申立人 | 利害関係人(管理組合・区分所有者など) | ||
| 管理人の権限 | 保存行為・利用・軽微な改良 → 自由。 それ以上の行為→裁判所許可必要 | ||
不動産登記法 一部変更登記義務化 令和8年4月1日施行
所有権の登記名義人の「氏名」「住所」に変更があったときの、登記が義務化されました。(参考:法務省のページ)
第76条の5・第76条の6が新設されています。
| 1 | 所有権の登記名義人が 氏名・名称・住所を変更した場合、→ 変更日から2年以内に変更登記を申請しなければならない。(義務) |
|---|---|
| 2 | 登記官は、氏名・住所が変わったことが明らかで法務省令に定める場合には、→ 職権で変更登記をすることができる。(登記名義人が自然人の場合は本人の申出が必要。) |
他にも改正があるか整理中です。あればおいおい更新していきます。
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