いつものように「条文」を引用し、そのあとで「解説」を入れています。
第三条 宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。
2 前項の免許の有効期間は、五年とする。
3 前項の有効期間の満了後引き続き宅地建物取引業を営もうとする者は、免許の更新を受けなければならない。
4 前項の免許の更新の申請があつた場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
5 前項の場合において、免許の更新がなされたときは、その免許の有効期間は、従前の免許の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
6 第一項の免許のうち国土交通大臣の免許を受けようとする者は、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の定めるところにより登録免許税を、第三項の規定により国土交通大臣の免許の更新を受けようとする者は、政令の定めるところにより手数料を、それぞれ納めなければならない。
第3条1項 国土交通大臣免許と都道府県知事免許
第3条は宅建業免許についてです。宅建業の免許を受けるには以下のようになっています。
2以上の都道府県に事務所を設置する場合→国土交通大臣免許が必要
1つの都道府県に事務所を設置する場合→その都道府県知事免許が必要
例えば東京都と埼玉県に事務所を置くような場合は国土交通大臣免許を受けないといけないし。
1つの県内に2か所の事務所を設置する場合は、県知事免許になると言う訳です。

ちなみに免許があれば、全国どこにある建物や土地でも宅建業で扱うことができます。
「事務所」とは何か?
事務所については「本店、支店その他の政令で定めるものをいう」と書かれています。重要な部分なので把握しておいて欲しいです。
まず本店ですが、これは会社の場合は登記簿謄本で「本店」とした場所のことです。同様に登記簿上で「支店」とした場所もこの法律では事務所となります。
本店は全て事務所に該当しますが、支店であっても宅建業を行っていなければ、そこは事務所にはならない事にも注意です。
個人事業主の場合は営業の本拠が本店になります。
「政令で定めるもの」という言葉が出てきますが、これは「宅地建物取引業法施行令」で定めたもの、と言う意味です。施行令の方を読まないとわからないですね。
さて、そちらには以下のように書かれています。
継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
「継続的に業務を行なうことができる施設」とは何かというと「モデルルーム」や「仮設テント張りの案内所」のようなものではない土地に定着した店舗を言います。
「契約を締結する権限を有する使用人」はただの社員とかではなくて店長や営業所長のようなその拠点の代表者が原則です。その権限を持つ人がいる店舗においては「事務所」になります。
事務所の扱いになるとどうなるかというと、宅建士を置く必要が出てきたり、供託金を払う必要が出てきたりします。宅建士試験にも出題されるのでよく理解することが求められます。
事務所のケーススタディ
A本店で既に他の事業(飲食業)をやってた場合、支店を作ってそちらで宅建業をやろうかな、と思うと、本店も支店も宅建業の事務所になってしまう
B本店で宅建業をやっていて、支店を作ってそちらで建設業を営む場合、支店は宅建業の事務所にはならない
C銀座にあるバーチャルオフィスを法人の本店として登記し、埼玉県でテナントを借りて不動産業を営む場合、本店のバーチャルオフィスが事務所とみなされるけど、このケースで宅建業の免許を申請するとそもそも免許がもらえません。
Dコワーキングスペースや自宅の一室を事務所として営業したい人もいますが、事務所と認められるか否かは一定の条件が求められます。
AとBを図示すると以下のようになる。

第3条2項~6項 免許の期間や更新手続きについて
2項では宅地建物取引業の免許の有効期間は5年と定めています。
3項は免許の有効期間(5年)満了後も、宅建業をやりたい場合は、更新の手続きをしないといけないとしています。
更新の申請期間については、以下の宅建業法施行規則3条にあるとおり、有効期間満了の90日前~30日前の間に手続きを行うことが求められます。
第三条 法第三条第三項の規定により同項の免許の更新を受けようとする者は、免許の有効期間満了の日の九十日前から三十日前までの間に免許申請書を提出しなければならない。

4項では、こちらに落ち度がなく、免許権者から処分が無い場合は自動的に旧免許が有効のままとなることを示しています。
5項では、4項の場合にその後、無事更新されたら旧免許満了の翌日から追加の5年が有効期間となる、と言っています。
6項では、国土交通大臣免許を受けようとする業者は登録免許税法別表第1の147の定める登録免許税9万円を収めることとし、
国土交通大臣免許の更新を受けようとする業者は宅建業法施行令第2条で定める33,000円を収入印紙で納めることになっています。
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