不動産屋に嘘をつかれた経験がある方は意外と多いんじゃないかと思います。
私も顧客を騙そうとしてるなと感じる言動を見聞きしてきました。
何故そんなことが起こるのか、また嘘を嘘と見抜き騙されないための対策についてお話します。
- 不動産屋のよくある嘘「すでに申し込みが入っています」
- 不動産屋のよくある嘘「すでに契約済みです」
- 不動産屋のよくある嘘「2番手でよろしいでしょうか」
- 賃貸のよくある嘘「ちょうど埋まったところなんです」
- 不動産屋のよくある嘘「この物件はフルリフォーム済みで、新築同然です」
- 不動産屋のよくある嘘「リフォーム費用はほとんどかからず住めますよ」
- 不動産屋のよくある嘘「先客の工務店が駆体がしっかりしていると言っていた」
- 不動産屋のよくある嘘「この物件は問い合わせが数十件来てます」
- 不動産屋のよくある嘘「この周辺は開発が進んで、将来的に価値が上がる」
- 不動産屋のよくある嘘「この物件はほぼ土地値で利回り◯%(投資家むけ)」
- 不動産屋のよくある嘘「この私道は通行できる、掘削の承諾を得ている」
- 不動産屋のよくある嘘「このマンションは眺望も日当たりもいいですよ」
- 不動産屋のよくある嘘「今後金利が上昇することが決定している」
- 不動産屋のよくある嘘「この物件は◯◯万円で売れます、私達に任せてください」
- 不動産屋のよくある嘘「他社よりも早く売れる」「買い手はすぐに見つかる」
- 不動産屋のよくある嘘「あなたの物件に近いモノを探してる顧客がすでにいる」
- 不動産屋のよくある嘘「空き家になると固定資産税が6倍になる」
- なぜ不動産屋は嘘をつくのか
- 不動産屋の言動を信じず、自分で調べる方法
不動産屋のよくある嘘「すでに申し込みが入っています」
家を探してる人はスーモやathome等から物件を探し、web問い合わせや電話問い合わせを行います。その返答としてありえる嘘が「すでに申し込みが入っています」というものです。
良さそうな物件を広告で出しておいて問い合わせを誘引します。ところが実際にはそのような物件はなく、既に申込みが入っていると嘘をついて、似たような他の物件や本当に売りたい物件を紹介したり、顧客の希望をヒアリングするのに活用する訳です。
おとり広告は宅建業法で禁止されている行為ですので罰則モノですが、それを見極めるのは困難です。
不動産購入は段階的で、①申込み→②契約→③引き渡し、まで1ヶ月以上かかることは普通です。不動産屋が広告を下げるタイミングは様々で申込みの段階では広告は下げません。なので本当に申し込みが入っている場合もよくある事なのです。
おとり広告なのか、本当なのかは調べる事ができません。
私も勤務してた不動産屋で、契約済だけど引き渡しが済んでない物件は広告掲載を続けてた場合があります。(契約後にご破算になる場合もあるので)
不動産屋のよくある嘘「すでに契約済みです」
こちらの事例も前章同様「すでに契約済みです」と嘘をついて他の物件を紹介するやり口があります。
契約済みというのは前章の申し込みの次の段階まで進んでいることを表しています。契約済みから引き渡しまで時間があるので、やはり広告掲載を維持している場合もありますし、不動産屋によっては契約済なら広告を下げる場合もあります。契約から引き渡しまでの間にブレイクするケースもありますが(ローン融資が通らなかった等)たいていは契約済までいくと物件を買うのは難しいと言えます。
やはり真実を確認するのは困難です。
不動産屋のよくある嘘「2番手でよろしいでしょうか」
こちらもおとり広告を出して問い合わせを誘引する手口の1つです。「既に買付申し込みが入ってるので2番手になりますがよろしいでしょうか」といった応答があります。
このケースでは不動産屋が嘘をついてるケースはほとんど無いと思います。なぜなら「2番手でも構わないので今すぐ内見させてくれ」と言われた場合、現実に無い物件の内見をすることはできませんから。
賃貸のよくある嘘「ちょうど埋まったところなんです」
こちらは賃貸物件でよくある嘘です。おとり広告に通じるものがあります。問い合わせを受けた時点で「ちょうど埋まったところなんです」「よろしければ希望を伺って、近い物件を紹介できますよ」となるわけです。
そして嘘かどうか不明なのでこの不動産屋と今後も取引を続けようと思うかどうかは借り手の判断によります。
不動産屋のよくある嘘「この物件はフルリフォーム済みで、新築同然です」
実際には部分的なリフォームしか行われていない、もしくは隠れた欠陥があるのに嘘をついて売ってしまうような事例です。
中古物件の場合はシロアリ・雨漏り・傾き・配管・基礎など見えない部分の調査をしっかり行うことをおすすめします。
そして「契約不適合責任免責」にしないことです。これは契約に適合しない欠陥があったとしてもなかったことに出来る魔法のワード。契約書に盛り込まないように注視してください。
ただし築30年以上の古い物件の場合は売主にも見えない気づいていない欠陥がある場合があり、売主の希望として契約不適合責任免責にする場合もあるのでよく交渉して妥協できるポイントを探す事が大事かと思います。
不動産屋のよくある嘘「リフォーム費用はほとんどかからず住めますよ」
中古戸建が販売されてるときは、その内部をよく調べることが重要です。「リフォーム費用をかけずに住める」というのは嘘かもしれません。嘘というか本人が自覚してないか無知な可能性が大きいです。
不動産屋が言うから間違いないと思ってはいけません。不動産屋の営業マンは建築士ではありませんから、家の構造や安全性については知識がありません。
屋内の壁のクロスの具合やフローリング、クッションフロア、畳の見える部分は判断できるでしょうけど。
家の傾き、床下のシロアリ被害・屋根裏の雨漏り、配管の劣化具合などは自分の目で見て判断したほうが良いです。それに不安があるなら、購入前に許可をもらって”ホームインスペクション(約10万円かかる)”を実施して判断してもらうのが良いと思います。
不動産屋のよくある嘘「先客の工務店が駆体がしっかりしていると言っていた」
中古戸建を内見したときに、前の客がこの建物を見に来た。その人はちょうど工務店で建築士だった。その人が言うには建物がしっかりしているので、中古だけど十分使えるしリフォームもかからないと言っていた。
といった言い方をするかもしれません。
出どころ不明の情報ですし、不動産屋からの情報でもありません。ただの聞いた話、なので鵜呑みにするのは危険ですね。
不動産屋のよくある嘘「この物件は問い合わせが数十件来てます」
他の購入希望者がいると虚偽の情報を提供することもあります。購入を急がせる戦術です。実際には競争がない場合でも、顧客に早急な決断を迫るために使われることがあります。
私も投資物件の内覧に行ったとき、今まで数ヶ月も売れ残ってるのに、「先週は10件も問い合わせがあり数人内見したから、そろそろ買付が入りそう」と嘘ぶかれたことがあります。
場合によっては内見中に電話が入って、「たった今買付けが入ったそうです。けどもし今買付を入れてくれたら1番手にさせてもらいます」ぐらいの演出をやってくる業者もあるかもしれません。
不動産屋のよくある嘘「この周辺は開発が進んで、将来的に価値が上がる」
将来の土地利用計画について誤解を与える嘘です。
「都市計画道路が通るから、市に高く土地を売ることが出来る」、などもあります。
実際には開発計画がない、あるいは逆に価値が下がる可能性がある地域かもしれません。自分で調べれば嘘か本当か見分けがつくものです。
不動産屋のよくある嘘「この物件はほぼ土地値で利回り◯%(投資家むけ)」
販売価格が土地値との乖離が少ない場合に言われることがあります。投資家むけのワードですが将来にわたって土地が資産価値があるのかを調査することが肝要です。
投資としての魅力を不当に高めようとしますので、真実なのか吟味しなければなりません。
未接道、調整区域などで再建築不可の可能性もあります。
不動産屋のよくある嘘「この私道は通行できる、掘削の承諾を得ている」
土地に隣接する私道(他人の道路)は通行権がなければ通行できませんが、そこを勝手に使えるといいきってしまうのは問題です。
また承諾や権利がないのに、掘削権を得ているので水道やガス管を掘って接続してもいいと誤認させ土地を購入させようとしてくるかもしれません。
契約後に言った言わないでモメるので重要な事項は契約書に明記させるなどが必要です。
不動産屋のよくある嘘「このマンションは眺望も日当たりもいいですよ」
隣地に高いマンションの建設計画中であることを知っていたとしても、しらんぷり。「このマンションは日当たり良好」などとアピールしますが、契約書には「周辺環境の建設により、将来の日照を保証するものではありません」などと書かれている場合があるでしょう。
つい不動産屋の言を信じて購入してしまうと、翌年マンションが建って日当たりが悪くなるなんてことに。
あとから「日当たり良好と言っていた」「建築計画のことを知らされてなかった」と言っても取り合ってもらえないかもしれません。こういった事象から裁判になる事はよくあります。
不動産屋のよくある嘘「今後金利が上昇することが決定している」
不安を煽ることで決断を急がせるのは不動産屋の常套手段だと思いますが、住宅ローンの金利上昇は2024年現在事実です。
日銀の政策金利引き上げの影響で変動金利型の住宅ローンが影響を受けていますので。
金利は具体的な数字で示されるので一般人でも事実のチェックが可能です。不動産屋任せにしないで自分で確認されることをおすすめします。
例えば長期固定金利型ローンは影響を受けにくいという特徴がありますし、フラット35の金利は2024年9月は前月比でやや引き下げになっていて、融資比率9割以下の場合は1.82%~となっていますので。
不動産屋のよくある嘘「この物件は◯◯万円で売れます、私達に任せてください」
このトークは不動産売却を考えている売主に対して言うワードです。
売主から1社独占で物件を預かるために高額の査定額を伝えるケースはよくあります。「この価格で売るための戦略がある」「すでにこのエリアで◯◯万円で探してるお客さんがいる」といった高額売却の期待感を煽りますが、広告活動をしてみると現実に売れないことになります。
そこから時間をかけてたびたび値下げを行い、結局”相場並”で売れるわけです。不動産屋の査定額で特別高額な査定額を出す業者には要注意です。
不動産屋のよくある嘘「他社よりも早く売れる」「買い手はすぐに見つかる」
不動産屋が自社のスピードを強調することがありますが、実際には他社と同様のプロセスを経るため、大きな差がない場合が多いです。売却までの期間は物件自体の魅力や市場状況によることが大きいといえます。
基本的にネット広告(スーモ、athome、HOME’S、自社ホームページあたり)をカバーしていればどの業者であっても大差なく集客が可能です。
売主を安心させるために、実際よりも早く買い手が見つかると伝えることがあります。しかし、購入希望者の中にはローン審査に落ちるなどの理由で最終的に契約に至らないケースも多いです。
不動産屋のよくある嘘「あなたの物件に近いモノを探してる顧客がすでにいる」
実際にそんな購入希望者がいるわけではないのに、あなたの物件を買いたいといってる人がいると誤認させるような言い方をします。
「残念ながら他の物件も見たいようです」「ちょっと価格が折り合わないようです」といって誤魔化すケースが多いです。
結果的に市場に出してみてのよくある売却プロセスと期間で売れていくことになります。
「豊富な購入希望の顧客リストがある」と主張しますが、実際にはネットワークや宣伝手法が似通っているため、顧客層に大きな差がないこともあります。
不動産屋のよくある嘘「空き家になると固定資産税が6倍になる」
空き家には段階があります。管理されている空き家→管理不全空き家→特定空き家となり、固定資産税が6倍になる場合があります。
ただし、不動産屋は恐怖心を煽るように「空き家になると6倍になる6倍になる」と言うかもしれませんが、そう簡単に6倍になるわけではありません。
空き家であっても草刈りしたりポストの郵便物を処理したり、たまに管理していれば問題ありません。
環境や衛生面で問題がありそうだったり、安全性に影響がありそうな空き家は「管理不全空き家」の指定がされる場合があります。
そして管理されない状態が継続し、次の段階として「特定空き家」に指定される場合があります。
特定空き家に指定されると、減税されていた固定資産税が取り消され通常の固定資産税が課され6倍になる可能性があります。
例えば年間3万円の固定資産税を払っていたら18万円。それが10年継続したなら30万円→180万円とかなりの金額になってしまいます。
空き家を管理していれば問題ないのです。空き家になった瞬間ですぐ税金が6倍になるわけではありません。そのように脅かして、「すぐに不動産を売却したほうがいい」と言ってくる不動産屋には気をつけなければいけません。
なぜ不動産屋は嘘をつくのか
何故不動産屋は嘘を付くのかといえば、それが自社の利益になると考えてのことです。
不動産屋にリピーターはほとんどいません。数千万円の家を買えば次にもう1つ買うなんてことはないので、売ったモン勝ちなんです。
売れるためにあらゆる嘘をつくことが考えられます。でもそれは営業マンの倫理観でもあるので正直にやってる営業マンもいるし、そうではない営業マンもいるということです。
会社としては嘘によって消費者に損害があれば、あとから賠償する責任を追うので、長期的な視野で営業していれば嘘をついて売ってしまおう、バレなきゃ大丈夫、なんてことはないのですが。
営業マンは目先の利益を追っている場合があるので、そういった嘘をつく可能性があると思っておいたほうが良いです。
会社からノルマを課せられている場合は、営業マンが否応なしにダークパターンに染まってしまう場合もあるでしょう。会社の風土や仕組みが嘘の温床の原因である場合は多いと思います。
不動産屋の言動を信じず、自分で調べる方法
私も家を購入するときに、内見を何度かしましたが、不動産屋の言はあまり鵜呑みにしていませんでした。
購入者としては冷静に情報を確認し、必ず現地や契約内容を自分で精査することが重要です。売主は自分で物件の相場を調べておくことが不動産屋に惑わされないことに繋がります。
また以下のポイントもチェックしてみてください。
- 利益相反の可能性
不動産屋は利益を上げるために、物件の売買を早めたり、価格を高めに設定する動機があります。これにより、売主や買主に対して適切でないアドバイスが提供されることがあることがわかったと思います。判断を急がせる言動には特に注意をしてください。 - 客観的な情報を自分で入手する
Webを使って物件の相場や市場動向などの情報を簡単に調べることができます。自分で調査することで、業者から提示された情報が正しいかどうかを確認でき、より良い判断ができるでしょう。
買主は市のWeb都市計画サイトや、国土交通省の成約事例、公示地価など様々な公的な情報を入手することができます。
売主は自分の物件と同じエリアで今売られてる他者の物件を比較してみるなどが有効です。 - 情報の偏り
不動産屋は物件の良い面を強調する一方で、デメリットや問題点を軽視することがあります。自分で物件の建物情報や、近隣情報などを調べることで、物件の本当の価値を理解できるようになります。 - 重要事項説明と契約内容の理解
重要事項説明や契約書の内容は契約日よりも1週間以上前に下書きを入手してよく読んでおくことをおすすめしたいです。
費用の詳細についても業者の説明に依存するだけではなく、自分で確認することが重要です。特に、手数料やその他の登記費用、税金、契約解除時の条件などを自分で把握することで、後々のトラブルを避けることができます。
結論として、不動産取引においては、業者の言動を参考にしつつも、自分でしっかりと調査を行うことが最悪な結果を回避するためにつながります。信頼できる情報源を活用して、冷静かつ慎重に進めることをお勧めします。