二 宅地建物取引業 宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。
まず条文をよむ前に「建物」とは何かについて解説しておきます。
「建物」とは何か?
宅地については宅建業法第2条第1項で解説していますので、ここでは「建物」とは何かを解説します。
建物は
① 住居
① 倉庫や工場など
② マンションの1室のような、建物の一部
このようなものが宅建業法での建物となります。
本文の解説
この条文はとても難しい構成をしているように見えるでしょう。
なぜなら「若しくは」や「又は」がたくさん出て来て意味がわかりにくくなっているからです。そして「若しくは」と「又は」似ているようで明確に違うので、ここで把握しておくことをお勧めします。
まず普通に日本語だと、「A若しくはB」も「A又はB」も同じような使い方をしますが、若しくはと又はが混在すると区切る部分が変わってきます。
まず大きな分類分けとして「又は」で区切るようにします。すると‥以下の2つの文になるでしょう。
①宅地若しくは建物の売買若しくは交換
又は
②宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為
で業として行うものをいう。
そして「若しくは」は小さな分類わけと言い換えることができます。
①の方は、宅地建物の売買、宅地建物の交換 となります。
②の方は、宅地建物の売買・交換・賃借の代理、宅地建物の売買・交換・賃借の媒介
をする行為で業として行うものをいう。となります。
つまり「宅地建物取引業」とは、
(自分で)宅地建物の売買や交換を業として行うものだし、
(代理で)宅地建物の売買・交換・賃貸を業として行うものだし
(媒介で)宅地建物の売買・交換・賃貸を業として行うもの
と言う事です。これら「取引」についてまとめると以下のようになります。
「取引」とは何か?
自ら | 代理 | 媒介 | |
---|---|---|---|
売買 | 〇 | 〇 | 〇 |
交換 | 〇 | 〇 | 〇 |
貸借 | ✕ | 〇 | 〇 |
〇の部分が条文に当てはまります。✕の部分つまり自分でアパートを賃貸に出すようなもの(大家さん)は商売であっても、取引ではない。宅建業法が適用されない、免許なしで商売できるということです。
ちなみに「媒介」は「仲介」や「斡旋」と同じ意味です。試験でも言葉を変えて出てくる事があるので気を付けてください。
媒介・・・売主(買主)から依頼を受けて、買主(売主)を探すことを言う
代理・・・当事者に変わって売買契約等を締結することを言う
★高齢者が物件を売却したい場合など。老人施設に入居したり、体の虚弱などで宅建業者に代理を依頼することがあります。媒介だと連絡・報告などが難しいので、不動産屋に代理人になって欲しいニーズがあるようです。
「業として行うもの」とは何か?
最後に「業として行うもの」とは何かを解説します。
実は諸要因を勘案して「業として行うもの」かどうかが判断されます。これは以下の3つを抑えておくとよいです。
①不特定多数の人に対して
②利益を目的としていること
③反復継続的に取引を行うこと
これらの条件を満たすと「業」とみなされます。
なのでsuumoやathomeなどで中古の戸建を買って、リフォームして売って‥を繰り返すような行為は、業として行うものになるので宅地建物取引業になるから、免許が無いとやっちゃ駄目ですよ、という事になりますね。
宅地建物取引業の他の事例
試験でよく出てくるので色んなパターンを把握しておきましょう。
・A社が所有している自社ビルをB社に貸し、B社が不特定多数の人に対し反復継続的に賃貸する行為の場合。A社もB社も宅建業にはあたりません。「自ら賃貸」だから。
・Cさんが自分の宅地を10区画に区割りして、不特定多数の人に対して反復継続的に売却する行為の場合。Cさんは宅建業にあたります。
・Dさんが自分の宅地を10区画に区割りして、不動産屋Eに1度に売却した後、不動産屋Eが不特定多数の人に売却する行為の場合。Dさんは宅建業にはなりません。
・Fさんが持っている市街化調整区域で用途地域の指定がされていない駐車場や畑を、不特定多数の人に、反復継続して売却する行為の場合。Fさんは宅建業にはなりません。売却する土地が宅地ではないからです。
・Gさんが持っている市街化区域の農地を10区画に区割りして、農地として不特定多数の人に反復継続的に売却する行為の場合。Gさんは宅建業とされます。なぜなら市街化区域内の土地は全て宅地だからです。