廃業等の届出についてです。

第十一条 宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、その日(第一号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
一 宅地建物取引業者が死亡した場合 その相続人
二 法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であつた者
三 宅地建物取引業者について破産手続開始の決定があつた場合 その破産管財人
四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
五 宅地建物取引業を廃止した場合 宅地建物取引業者であつた個人又は宅地建物取引業者であつた法人を代表する役員
2 前項第三号から第五号までの規定により届出があつたときは、第三条第一項の免許は、その効力を失う。

1項で言ってることは以下の内容です。表で整理しました。

以下の廃業等に該当する場合、届出義務者は、期限までに、免許権者に届出をしなければなりません。

原因 対象 届出義務者 届出期限 免許失効
死亡 個人 相続人 死亡の事実を知った日から30日以内 死亡時
合併による消滅 法人 消滅した会社の代表者 その日から30日以内 消滅時
破産 個人・法人 破産管財人 届出時
解散 法人 清算人
廃止 個人・法人 代表者

第2項では三号~五号までは届出時に免許が効力を失うと規定しています。では一号と二号はどうなのかというと、一号は死亡した時点で免許の権利は自動的に失効することになります。二号は会社が消滅した時点で自動的に免許が失効します。届出時ではないことに気を付けてください。

また、廃業の届出は「廃業等届出書」により届出を行います。(施行規則第五条の五)
また「免許証」を返納することになります。(施行規則第四条の四第二項)

補足

「破産管財人」や「清算人」という聞きなれない言葉が出てきたので補足します。

・破産管財人は通常弁護士です。全ての財産の管理、処分の権利をもつ。
・清算人は株主総会で決定するが、通常は取締役がなる。

みなし宅建業者

廃業等をしたときに、契約締結中のお客さんがいたらどうするの?というイレギュラーなケースに対応しているのが以下の宅建業法76条です。一緒にここで説明しようと思います。

第七十六条 第三条第二項の有効期間が満了したとき、第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき、又は宅地建物取引業者が第十一条第一項第一号若しくは第二号に該当したとき、若しくは第二十五条第七項、第六十六条若しくは第六十七条第一項の規定により免許を取り消されたときは、当該宅地建物取引業者であつた者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなす。

免許の失効時(期間満了、免許取り消し、死亡、合併、破産、解散、廃止)において、宅建業者であった者や相続人は、締結した契約に基づく取引を決了する目的の範囲内においては、なお宅建業者とみなされる、宅建業を行ってよい。ということです。

条文の表現をわかりやすくするために表にしました。

条文の表現 内容 宅建業者とみなされる者
第三条第二項 免許有効期間満了 有効期間が満了した宅建業者
第十一条第二項 破産、解散、廃止 宅建業者だった者
第十一条第一項第一号 死亡 相続人
若しくは第二号 合併による消滅 合併後の法人
第二十五条第七項、第六十六条若しくは第六十七条第一項 免許取消し 宅建業者だった者

不動産売買だと、売買契約を締結して、その後に不動産と金銭の引渡しが行われる事になります。契約締結後に免許を失効してその後の業務が出来ないとお客さんが困ってしまいます。なので既に締結した契約が決了する目的の範囲内においては、宅建業者とみなして業務をしていいですよ、ということになってる訳ですね。