重要事項説明といわゆる35条書面(重要事項説明書)に関する条文です。

(重要事項の説明等)
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
一 当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
三 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
四 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
五 当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
六 当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
六の二 当該建物が既存の建物であるときは、次に掲げる事項
イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況
七 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
八 契約の解除に関する事項
九 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
十 第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
十一 支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
十二 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
十三 当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
十四 その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令
2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
一 現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
二 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
三 宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
3 宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
一 当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
二 当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
三 当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
四 当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
五 当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
六 当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
七 その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
4 宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名しなければならない。
6 次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。

宅地建物取引業者の相手方等 第一項 宅地建物取引士をして、
少なくとも次に掲げる事項について、
これらの事項
少なくとも次に掲げる事項
交付して説明をさせなければ 交付しなければ
第二項に規定する
宅地又は建物の割賦販売の相手方
第二項 宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、
次に掲げる事項について、これらの事項
前項各号に掲げる事項のほか、
次に掲げる事項
交付して説明をさせなければ 交付しなければ

7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。
8 宅地建物取引業者は、第一項から第三項までの規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等、第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方又は第三項に規定する売買の相手方の承諾を得て、宅地建物取引士に、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第五項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供させることができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該宅地建物取引士に当該書面を交付させたものとみなし、同項の規定は、適用しない。
9 宅地建物取引業者は、第六項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第六項の規定により読み替えて適用する第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等である宅地建物取引業者又は第六項の規定により読み替えて適用する第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方である宅地建物取引業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第七項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を交付したものとみなし、同項の規定は、適用しない。

重要事項の説明に関する条文です。またお客さんに交付する重要事項説明書(いわゆる35条書面)に関することでもあります。

第1項

第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

文章が長いので分解していきます。

宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等に対して、宅地建物取引士に、書面を交付して説明させなければならない。という事が書いてあります。

誰に説明するかというと、「宅地・建物」 X 「売買・交換・貸借」 X 「相手方、代理を依頼した者、媒介の各当事者」 に対してです。買おうとしてる人、借りようとしてる人、交換しようとしてる人に対して書面を交付して説明する必要があります。

なので、売主や貸主側には説明する必要はありません。

いつまでに説明するかと言えば、契約が成立するまでの間です。売買契約でよくある流れで説明します。

買主が物件を内覧する→買付申込→重要事項説明(不動産屋から買主へ)→売買契約(売主、不動産屋、買主)→支払い&引渡し

このような流れですね。重要事項は売却不動産に関する重要な事項(建物や土地の状況や、法令上の制限等)を買主に説明し、最終的な判断材料となるものです。逆に言えば売主側は自分が所有する物件なので既に知ってる事項だから、売主に説明する訳ではないことも理解できるでしょう。

宅建士証の提示と、宅建士の記名

4 宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名しなければならない。

4項と5項を先に書いておきます。重要事項説明は宅建士が行います(宅建士の独占業務です)が、説明をするときは「宅建士証」を説明の相手に提示します。また宅建士の記名がある重要事項説明書を交付して説明をします。

相手が宅建業者の場合は、重要事項説明書の交付のみでよく、「説明までは不要」となります。また説明が不要なのですから「宅建士証の提示も不要」となります。※ただし相手から請求があったときは相手が宅建業者であっても宅建士証の提示が必要です。(22条の4

さて、何について記載し説明するか、次の各号に続きますが、解りやすくするために、重要事項説明書のひな形に沿った順で説明していきます。

以下は各トピックと、●号の対応表です。

対象となる宅地または建物に直接関係する事項 1号~5号、6の2号、14号
区分マンションに関する追加説明 6号
取引条件に関する事項 7号~13号
賃貸借契約における追加説明 14号

対象となる宅地または建物に直接関係する事項

①登記された権利の種類・内容、登記名義人、表題部所有者

一 当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)

取引対象の土地・建物の登記記録に記録された事項を記載します。所有権者の氏名・住所。抵当権・賃借権・地上権など、不動産の所有者以外の第三者がその不動産に対して有する権利等です。

どんな取引が説明の対象になるかというと、下図のとおり、土地・建物 x 売買・交換・賃貸のすべてです。

②法令に基づく制限

二 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

都市計画法や建築基準法で、取引対象となる土地・建物に制限がある場合は、それを重要事項説明で説明しなければなりません。

都市計画法で言えば以下の分類の別とか、

  • 市街化区域
  • 市街化調整区域
  • 非線引き区域
  • 準都市計画区域
  • その他

建築基準法で言えば次のような情報です。

  • 用途地域名とその制限の内容
  • 地域・地区・街区名とその制限の内容
  • 建蔽率の制限
  • 容積率の制限

これ以外の法令に基づく制限の詳細は「宅建業法施行令」の方に記載があります。非常に多いので試験での優先度は低くなるでしょうから主なものだけ確認しておくとよいです。

<宅地・建物の売買・交換>に関しては、宅建業法施行令の第三条1項1号~63号までたくさん書かれています。(2024年3月時点参照)

<宅地の賃借>に関しては、施行令の第3条2項をご覧ください。

<建物の賃借>に関しては、施行令の第3条3項に書かれていますが、新住宅市街地開発法第三十二条第一項、新都市基盤整備法第五十一条第一項及び流通業務市街地の整備に関する法律第三十八条第一項の規定に基づく制限のみです。

③私道負担

三 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項

「私道負担」は建物の賃貸以外のときに説明します。負担の「有無」負担の「面積・負担金」について説明します。

「私道」とは土地に関連する概念で、個人や法人が所有する道のことです。一方、国や自治体が所有する道は「公道」です。

私道に関しては1記事まるまる解説が必要になるので、試験にむけて概念的な解説にとどめます。私道には例えば以下のようなケースがあります。

(1)住宅メーカーが土地を買って、A~Fまで家を建てて分譲した場合。私道はA~Fさんの共有になってたりします。道だけど固定資産税がかかったりします。

(2)Aさんの敷地の一部が道になってるケース。10㎡について道路の管理や固定資産税がかかる場合があります。また建物を建てる際、前面道路幅が4mないと建物を建てられませんから、土地の一部を私道にして、少し下がった場所に建物を建てる必要があります。(これをセットバックと呼ぶ)

④飲用水・電気・ガスの共有施設および排水施設の整備状況

四 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)

土地建物の売買賃貸の全てのケースで、説明が必要です。

飲用水が、公営・私営・井戸などの違い。電気の整備状況、ガスは都市ガスかプロパンガスか、下水道があるか浄化槽が必要か。またない場合は整備の見通しや負担について。

⑤未完成物件のとき

五 当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項(法第三十五条第一項第五号の国土交通省令・内閣府令で定める事項)
第十六条 法第三十五条第一項第五号の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、宅地の場合にあつては宅地の造成の工事の完了時における当該宅地に接する道路の構造及び幅員、建物の場合にあつては建築の工事の完了時における当該建物の主要構造部、内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造とする。

宅地・建物が、工事完了前のときは、完了時の「形状・構造」等を説明します。

詳細は宅建業法施行規則第16条にあります。以下のものです。

宅地 形状・構造
宅地に接する道路の構造および幅員
建物 形状・構造
建物の主要構造部、内装、外装の構造・仕上げ
設備の設置および構造

インスペクションの有無、書類の有無

六の二 当該建物が既存の建物であるときは、次に掲げる事項
イ 建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間(法第三十五条第一項第六号の二イの国土交通省令で定める期間)
第十六条の二の二 法第三十五条第一項第六号の二イの国土交通省令で定める期間は、一年とする。
を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
ロ 設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるもの(法第三十五条第一項第六号の二ロの国土交通省令で定める書類)
第十六条の二の三 法第三十五条第一項第六号の二ロの国土交通省令で定める書類は、売買又は交換の契約に係る住宅に関する書類で次の各号に掲げるものとする。
一 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項(同法第八十七条第一項又は同法第八十七条の四において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請書及び同法第十八条第二項(同法第八十七条第一項又は同法第八十七条の四において準用する場合を含む。)の規定による計画通知書並びに同法第六条第一項及び同法第十八条第三項(これらの規定を同法第八十七条第一項又は同法第八十七条の四において準用する場合を含む。)の確認済証
二 建築基準法第七条第五項及び同法第十八条第十八項(これらの規定を同法第八十七条の四において準用する場合を含む。)の検査済証
三 法第三十四条の二第一項第四号に規定する建物状況調査の結果についての報告書
四 既存住宅に係る住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)第六条第三項に規定する建設住宅性能評価書
五 建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)第五条第三項及び同規則第六条第三項に規定する書類
六 当該住宅が昭和五十六年五月三十一日以前に新築の工事に着手したものであるときは、地震に対する安全性に係る建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するもの又はこれに準ずるものであることを確認できる書類で次に掲げるもの
イ 建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成七年法律第百二十三号)第四条第一項に規定する基本方針のうち同条第二項第三号の技術上の指針となるべき事項に基づいて建築士が行った耐震診断の結果についての報告書
ロ 既存住宅に係る住宅の品質確保の促進等に関する法律第六条第三項の建設住宅性能評価書
ハ 既存住宅の売買に係る特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成十九年法律第六十六号)第十九条第二号の保険契約が締結されていることを証する書類
ニ イからハまでに掲げるもののほか、住宅の耐震性に関する書類
の保存の状況

・既存建物(中古建物)のときは、1年以内に実施した建物状況調査(インスペクション)の実施の有無。有の場合の結果の概要
・建物の売買・交換ときは、設計図書、点検記録、その他の保存の有無

どんな取引のときに説明しなければいけないかと言うと以下が該当します。

災害関係4つ

分類の関係で、第6号から14号に飛びます。

十四 その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令

14号の詳細は宅建業法施行規則第十六条の四の三1号~3の2号一 当該宅地又は建物が宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第四十五条第一項により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨
二 当該宅地又は建物が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成十二年法律第五十七号)第七条第一項により指定された土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨
三 当該宅地又は建物が津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第五十三条第一項により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨
三の二 水防法施行規則(平成十二年建設省令第四十四号)第十一条第一号の規定により当該宅地又は建物が所在する市町村の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地
に書かれています。
まとめると下表のようになります。

調査・診断系3つ

さらに宅建業法施行規則第十六条の四の三4号~6号四 当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容
五 当該建物(昭和五十六年六月一日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が建築物の耐震改修の促進に関する法律第四条第一項に規定する基本方針のうち同条第二項第三号の技術上の指針となるべき事項に基づいて次に掲げる者が行う耐震診断を受けたものであるときは、その内容
イ 建築基準法第七十七条の二十一第一項に規定する指定確認検査機関
ロ 建築士
ハ 住宅の品質確保の促進等に関する法律第五条第一項に規定する登録住宅性能評価機関
ニ 地方公共団体
六 当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第五条第一項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨
には以下のとおりです。

区分マンションに関する追加説明

35条1項6号は区分マンションの取引に関することが書かれているので、ここで整理しました。

六 当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの

詳細は宅建業法施行規則第十六条の二第十六条の二 法第三十五条第一項第六号の国土交通省令・内閣府令で定める事項は、建物の貸借の契約以外の契約にあつては次に掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第三号及び第八号に掲げるものとする。
一 当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
二 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下この条、第十六条の四の三、第十六条の四の六及び第十九条の二の五において「区分所有法」という。)第二条第四項に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。次号において同じ。)があるときは、その内容
三 区分所有法第二条第三項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容
四 当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約(これに類するものを含む。次号及び第六号において同じ。)の定め(その案を含む。次号及び第六号において同じ。)があるときは、その内容
五 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがあるときは、その内容
六 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額
七 当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
八 当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
九 当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容
に記載があります。

まとめると以下のようになります。

3番目の専有部分の利用の制限とは例えば「ペット飼育禁止」「事務処理用禁止」「楽器禁止」などです。
4番目の専用使用権は、1階の住人だけ庭が使える権利などです。

取引条件に関する事項

35条1項7号~13号までは取引条件に関することが書かれているので、ここで整理しました。

代金および交換差金以外に授受される金額

七 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的

代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭(例えば手付金、固定資産税清算金、敷金、礼金)の額と授受の目的について、買主・借主・交換の相手に説明します。

契約の解除に関する事項

八 契約の解除に関する事項

契約の解除と言えば、引渡し前の滅失損傷による解除、契約不適合による補修請求・解除、手付解除、融資利用の特約による解除、反社会勢力による解除等がありますね。

損害賠償額の予定または違約金に関する事項

九 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項

契約違反をしたことによる違約金として売買代金の20%を請求できる、等をここで規定します。あとは反社会勢力に該当して解除した場合の違約金とか、売主や買主が引き渡しを履行しない時などに請求できる違約金について定める時はここで定めます。

手付金等の保全措置の概要(業者が自ら売主の場合)

十 第四十一条第一項第四十一条 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう。以下同じ。)を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の百分の五以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
一 銀行その他政令で定める金融機関又は国土交通大臣が指定する者(以下この条において「銀行等」という。)との間において、宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務を負うこととなつた場合において当該銀行等がその債務を連帯して保証することを委託する契約(以下「保証委託契約」という。)を締結し、かつ、当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付すること。
二 保険事業者(保険業法(平成七年法律第百五号)第三条第一項又は第百八十五条第一項の免許を受けて保険業を行う者をいう。以下この号において同じ。)との間において、宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務の不履行により買主に生じた損害のうち少なくとも当該返還債務の不履行に係る手付金等の額に相当する部分を当該保険事業者がうめることを約する保証保険契約を締結し、かつ、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付すること。
に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定第四十一条の二 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買(前条第一項に規定する売買を除く。)に関しては、同項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じた後又は次の各号に掲げる措置をいずれも講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の十分の一以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
一 国土交通大臣が指定する者(以下「指定保管機関」という。)との間において、宅地建物取引業者が自己に代理して当該指定保管機関に当該手付金等を受領させることとするとともに、当該指定保管機関が、当該宅地建物取引業者が受領した手付金等の額に相当する額の金銭を保管することを約する契約(以下「手付金等寄託契約」という。)を締結し、かつ、当該手付金等寄託契約を証する書面を買主に交付すること。
二 買主との間において、買主が宅地建物取引業者に対して有することとなる手付金等の返還を目的とする債権の担保として、手付金等寄託契約に基づく寄託金の返還を目的とする債権について質権を設定する契約(以下「質権設定契約」という。)を締結し、かつ、当該質権設定契約を証する書面を買主に交付し、及び当該質権設定契約による質権の設定を民法第四百六十七条の規定による確定日付のある証書をもつて指定保管機関に通知すること。
2 前項第一号の規定による手付金等寄託契約は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 保管される金額が、宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等で指定保管機関に保管されていないものがあるときは、その保管されていないものの額を加えた額)に相当する金額であること。
二 保管期間が、少なくとも指定保管機関が宅地建物取引業者に代理して手付金等を受領した時から当該手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であること。
3 第一項第二号の規定による質権設定契約は、設定される質権の存続期間が、少なくとも当該質権が設定された時から宅地建物取引業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であるものでなければならない。
4 宅地建物取引業者は、第一項各号に掲げる措置を講ずる場合において、既に自ら手付金等を受領しているときは、自ら受領した手付金等の額に相当する額(既に指定保管機関が保管する金銭があるときは、その額を除いた額)の金銭を、買主が手付金等の支払をする前に、指定保管機関に交付しなければならない。
5 宅地建物取引業者が、第一項に規定する宅地又は建物の売買を行う場合(同項ただし書に該当する場合を除く。)において、前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じないとき、第一項各号の一に掲げる措置を講じないとき、又は前項の規定による金銭の交付をしないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。
6 宅地建物取引業者は、次の各号に掲げる措置に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する買主の承諾を得て、電磁的方法であつて当該各号に掲げる措置に準ずるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるものを講じることができる。この場合において、当該国土交通省令・内閣府令で定める措置を講じた者は、当該各号に掲げる措置を講じたものとみなす。
一 第一項第一号に掲げる措置のうち、当該手付金等寄託契約を証する書面を買主に交付する措置
二 第一項第二号に掲げる措置のうち、当該質権設定契約を証する書面を買主に交付する措置
による措置の概要

ここは宅建業者が自ら売主の場合の重要事項です。買主が購入のために宅建業者に手付金を払った後に、宅建業者が倒産したり夜逃げしたりして不動産の引渡ができなくなる場合があります。その時に手付金を返してもらう予防措置について書かれています。

以下の手付金の保全措置や、保全措置を行う機関について説明します。

手付金の保全の方式
未完成物件の場合 保証委託契約(第41条第1項第1号)

保証保険契約(第41条第1項第2号)
完成物件の場合 保証委託契約(第41条第1項第1号)

保証保険契約(第41条第1項第2号)

手付金等寄託契約および質権設定契約(第41条の2第1項)

支払金または預り金の保全措置の概要

十一 支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるもの(支払金又は預り金)
第十六条の三 法第三十五条第一項第十一号の国土交通省令・内閣府令で定める支払金又は預り金は、代金、交換差金、借賃、権利金、敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、宅地建物取引業者の相手方等から宅地建物取引業者がその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する金銭とする。ただし、次の各号に該当するものを除く。
一 受領する額が五十万円未満のもの
二 法第四十一条又は第四十一条の二の規定により、保全措置が講ぜられている手付金等
三 売主又は交換の当事者である宅地建物取引業者が登記以後に受領するもの
四 報酬
をいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要

これは宅建業者が相手から受け取る支払金・預り金(代金、交換差金、借賃、権利金、敷金、その他)について、保証の措置、保全措置を講ずるか、講じないか。講ずる場合はその措置の概要(機関の種類と名称または商号)、について説明します。

ただし金額が50万円未満の場合は、支払金・預り金に該当しません

例えば、買主→売主に手付金を渡してしまうことに不安がある場合、仲介の宅建業者が預かる場合があります。

金銭の貸借のあっせん

十二 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置

代金、交換差金に関する金銭の貸借(ローン)のあっせんの内容、ローン契約不成立時の措置について買主に説明します。

これは買主がローンを使う場合の話ですね。宅建業者が提携ローンを買主に紹介したりしますので、その内容を説明していきます。

金融機関、融資額、融資期間、利率、返済方法、保証料、ローン事務手数料など。

また融資が認められない等、住宅ローンが組めなかったときの措置(売買契約を無条件で解除‥ローン特約)の取り決めを買主に説明します。

担保責任の履行に関する措置の概要

十三 当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要

担保責任の履行に関する措置を講ずるか、講じないか。講ずる場合の措置の内容、について説明します。

これは宅地・建物が種類または品質が契約を満たしてないような場合の責任。例えば売主の倒産などで担保責任を負えない場合でも保険加入などにより責任を履行する制度と考えるとわかりやすいと思います。簡単に言えば売主が保険に加入してるかどうかの話です。

契約不適合責任は?

中古の戸建売買において売主の契約不適合責任を免責する特約を盛り込む場合があります。SUUMOやAthomeでもそのような記述をしている物件をたまに見かけるでしょう。これは購入後、建物に雨漏りが発見されたり、白アリが発見されるなど、不適合が見つかっても、売主の責任を問わないとする特約です。とても重要に見えますが、このことは35条書面への記載、および説明の必要事項にはなっていません。

賃貸借契約における追加説明

宅建業法35条1項第14号に以下のように書かれていて、

十四 その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
イ 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令
ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令

詳細は、宅建業法施行規則第16条の4の3に以下のように書かれていて。賃貸借契約については7~13号までを抽出しました。

(法第三十五条第一項第十四号イの国土交通省令・内閣府令及び同号ロの国土交通省令で定める事項)
第十六条の四の三 法第三十五条第一項第十四号イの国土交通省令・内閣府令及び同号ロの国土交通省令で定める事項は、宅地の売買又は交換の契約にあつては第一号から第三号の二までに掲げるもの、建物の売買又は交換の契約にあつては第一号から第六号までに掲げるもの、宅地の貸借の契約にあつては第一号から第三号の二まで及び第八号から第十三号までに掲げるもの、建物の貸借の契約にあつては第一号から第五号まで及び第七号から第十二号までに掲げるものとする。

七 台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況
八 契約期間及び契約の更新に関する事項
九 借地借家法(平成三年法律第九十号)第二条第一号に規定する借地権で同法第二十二条第一項の規定の適用を受けるものを設定しようとするとき、又は建物の賃貸借で同法第三十八条第一項若しくは高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項の規定の適用を受けるものをしようとするときは、その旨
十 当該宅地又は建物の用途その他の利用に係る制限に関する事項(当該建物が区分所有法第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるときにあつては、第十六条の二第三号に掲げる事項を除く。)
十一 敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項
十二 当該宅地又は建物(当該建物が区分所有法第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものを除く。)の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)
十三 契約終了時における当該宅地の上の建物の取壊しに関する事項を定めようとするときは、その内容

35条1項は以上です。
35条2項以降が以下に続きます。

35条2項以降

35条第2項 割賦販売にかかる事項

2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
一 現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
二 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
三 宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法

割賦販売を行う場合、①現金販売価格 ②割賦販売価格 ③宅地または建物の引渡しまでに支払う金銭(頭金)の額及び賦払金の額ならびに支払いの時期と方法について説明しなければならない

割賦販売:不動産の引き渡し後、1年以上の期間にわたって2回以上に分割して支払う方式。

35条第4項、5項、6項、7項 宅建士の義務

重要事項説明は宅建士が行いますが、それに関する義務も規定されています。

4 宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名しなければならない。

宅建士は売買の重説、割賦販売の重説、信託販売の重説をするときは、説明の相手方に対して「宅地建物取引士証」を提示しなければいけません。
宅建士は重要事項説明書に、記名しなければなりません。(以前は押印も必要でしたが、押印は不要になりました)

6 次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。
7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。

第6項では、「相手が宅建業者のとき」は第1項の文言を以下のように変更し、4項と5項の規定について適用しない、としています。

(第1項の文言修正)
宅地建物取引業者の相手方等が宅建業者であるときは、
その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、少なくとも次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。

7項では6項について、宅建士の記名が必要だと言っています。

つまり、相手が宅建業者のときは、宅建士が相手に説明しなくていいし、宅建士証を提示しない。宅建業者には宅建士の記名がある重要事項説明書の交付でOK。ということですね。

35条第8項、第9項

8 宅地建物取引業者は、第一項から第三項までの規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等、第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方又は第三項に規定する売買の相手方の承諾を得て、宅地建物取引士に、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第五項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供させることができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該宅地建物取引士に当該書面を交付させたものとみなし、同項の規定は、適用しない。

9 宅地建物取引業者は、第六項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第六項の規定により読み替えて適用する第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等である宅地建物取引業者又は第六項の規定により読み替えて適用する第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方である宅地建物取引業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第七項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を交付したものとみなし、同項の規定は、適用しない。

こちらは重要事項説書や宅建士の記名を、電磁的方法によって行えることを規定しています。

ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」も参考になります。

不動産信託受益権売買

35条第3項 不動産信託受益権売買の際の重要事項説明義務

この条文は、急に不動産売買ではなくて、「不動産信託受益権売買」についての話になります。試験での優先度的には後回しになるでしょう。

3 宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
一 当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
二 当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
三 当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
四 当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
五 当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
六 当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
七 その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項

宅建業者が信託の受益権の売主となる場合には、宅地・建物に関し、売買契約が成立するまでの間に、宅建士に次の事項について書面を交付して説明させなければならないとしています。

50条の2の4と併せて別記事で解説することにします。

まとめ

情報が散らかっているので、まとめます。

宅地建物取引業者は、以下の相手方に、重要事項説明書を交付して(宅建士の記名含む)、宅建士に説明させなければならない。(契約成立の前に。)
宅建士は説明する時に宅建士証を提示しなければならない。

説明する人 宅建士
説明の相手 買主
借主
交換の両当事者
タイミング 契約の前
どのように 宅建士が(宅建士の記名がある)重要事項説明書を交付して説明
(宅建士は説明する時に宅建士証を提示)
(IT重説もできる)
相手が宅建業者の場合は35条書面の交付のみでOK。説明不要。
どこで説明する どこでもよい

重要事項の説明の内容

①取引物件に関すること
②区分マンションに関する追加説明
③取引条件に関すること
④賃貸借契約における追加説明

①取引物件に関すること

②区分マンションに関する追加説明

③取引条件に関すること

④賃貸借契約における追加説明

宅建業法施行規則 第16条の4の3第7号~13号を参照のこと。

複数の宅建業者がからむ場合

主な法令名と概要

重要事項説明における各法令に基づく制限等についての概要一覧

重要事項に関するひな形のダウンロード等

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000268.html

重要事項説明書→別添3・重要事項説明の様式例

重要事項の説明を受ける人への全体像の説明用→別添2