ここでは宅建業者の営業保証金について規定しています。試験対策では必須ポイントです。

(営業保証金の供託等)
第二十五条 宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。
2 前項の営業保証金の額は、主たる事務所及びその他の事務所ごとに、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して、政令で定める額とする。
3 第一項の営業保証金は、国土交通省令の定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。)をもつて、これに充てることができる。
4 宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
5 宅地建物取引業者は、前項の規定による届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。
6 国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許をした日から三月以内に宅地建物取引業者が第四項の規定による届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならない。
7 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の催告が到達した日から一月以内に宅地建物取引業者が第四項の規定による届出をしないときは、その免許を取り消すことができる。
8 第二項の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令で、営業保証金の追加の供託又はその取戻しに関して、所要の経過措置(経過措置に関し監督上必要な措置を含む。)を定めることができる。

(事務所新設の場合の営業保証金)
第二十六条 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したとき(第七条第一項各号の一に該当する場合において事務所の増設があつたときを含むものとする。)は、当該事務所につき前条第二項の政令で定める額の営業保証金を供託しなければならない。
2 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。

第二十五条:営業保証金の供託等

営業保証金というのは、宅建業者のせいでお客さんが損害を被った場合に、供託金から支払われるお金のことです。

宅建業者は、事業を始める前に、本店の最寄りの供託所に営業保証金(1000万円)を供託しなければなりません。また支店での営業を開始するときは、営業保証金500万円を供託しなければなりません

金額について原文は宅建業法施行令の第二条の四第二条の四 法第二十五条第二項に規定する営業保証金の額は、主たる事務所につき千万円、その他の事務所につき事務所ごとに五百万円の割合による金額の合計額とする。に書かれています。

例えば、県内に本店と支店をオープンしようと思ったら、合計1500万円を供託しないといけない、という訳ですね。先に本店を営業していて、その後に支店をオープンするときも、営業する前に500万円を供託してから、となります。

供託所とは法務局・地方法務局になります。

営業保証金は「国際証券」「地方債証券」その他国土交通省令で定める有価証券、株式で払うこともできます。ただし割り当てられる価額はパーセンテージが決まっています。(本文は施行規則第十五条一 国債証券(その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。次条において同じ。)については、その額面金額(その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものにあつては、振替口座簿に記載又は記録された金額。)
二 地方債証券又は政府がその債務について保証契約をした債券については、その額面金額の百分の九十
三 前各号以外の債券については、その額面金額の百分の八十
を参照のこと。)

国債 : 100%
地方債証券又は政府がその債務について保証契約をした債券 : 90%
その他の債権 : 80%

そして供託後にその供託書の写しを添付して、免許権者に届け出るまでは事業を開始できないのです。

この届出は、宅建業者が免許を受けてから3ヶ月以内に届出をする必要があり、3ヶ月間で届出がない場合は、免許権者は宅建業者に「催告」をしなければいけません。もし催告して1ヶ月間、供託の届出がない場合は、免許を取り消すことができる、としています。下図がわかりやすいでしょう。

ちなみに図のとおり、免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合は、こんどは「免許を取り消さなければならない」と第66条に規定されています。

第六十六条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。
六 免許を受けてから一年以内に事業を開始せず、又は引き続いて一年以上事業を休止したとき。

「取消すことができる」と「取り消さなければならない」は全然違いますので、この点もよく覚えておきましょう。

第二十六条:事務所新設の場合の営業保証金

事務所を新設する場合においても、営業保証金を供託しなければなりません。25条で言ってる事と同じです。

第七条第一項各号の一に該当する場合を含む、と書かれていますが、これは次の1,2,3号のことです。
1 国土交通大臣免許の業者が事務所を増設する場合
2 都道府県知事免許の業者が同一県内に事務所を増設する場合
3 都道府県知事免許の業者が、他の都道府県内に事務所を増設する場合

また前条の1項、3項4項5項も適用されます。つまり
1 主たる事務所の最寄りの供託所に供託する。
3 国債、地方債、その他有価証券でも支払ができる
4 供託した旨を免許権者に届出る
5 届出をするまではその事務所で事業を開始できない
ということですね。