(証明書の携帯等)
第四十八条 宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。
2 従業者は、取引の関係者の請求があつたときは、前項の証明書を提示しなければならない。
3 宅地建物取引業者は、国土交通省令で定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、第一項の証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があつたときは、前項の従業者名簿をその者の閲覧に供しなければならない。
(帳簿の備付け)
第四十九条 宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し取引のあつたつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。
(標識の掲示等)
第五十条 宅地建物取引業者は、事務所等及び事務所等以外の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
2 宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、あらかじめ、第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める場所について所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の宅地建物取引士の氏名を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
従業者証明書・名簿
① 宅建業者は従業者に「従業者証明書」を携帯させなければいけない、としています。宅地建物取引業法施行規則の様式八号に書式があります。
正社員、社長、役員、パート、アルバイトも含め携帯が必須です。(業務時間外の携帯は不要)
② 従業者は取引関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならない。
③ 宅建業者は事務所ごとに従業者名簿を備えなければならない。記入する項目は宅地建物取引業法施行規則の様式八号の2に書式があります。
事務所ごとなので、案内所には不要です。
代表、役員(非常勤役員、監査役を除く)、従業員が名簿に載ります。不動産事業部を統括する管理部門や経理に従事する者も含みます。
社内で宅建業以外の業務に従事する人は含みません。
従業者名簿は電磁的方法で保存してもOKとなっています。
従業者名簿の保存期間は、最終の記載をした日から10年間です。(その行の記載をした日から10年間ではなく、名簿全体として最終の記載をした日からの10年間)
④ 宅建業者は、取引関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧させなければならない。
帳簿
宅建業者は、事務所ごとに帳簿を備え、取引の都度、記載しなければならない。(宅建業法施行規則 第18条参照)
帳簿の保存期間は各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間です。
宅建業者が売主になっている「新築物件」の帳簿は10年間保存します。
また帳簿は電磁的方法で保存してもOKとなっています。
標識
宅建業者は事務所等及び事務所等以外の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに「標識」を掲示する必要があります。以下のようなイメージ。
どんな場所が該当するかといえば以下のとおりです。(宅建業法施行規則第19条参照第十九条 法第五十条第一項の国土交通省令で定める業務を行う場所は、次に掲げるもので第十五条の五の二に規定する場所以外のものとする。
一 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
二 宅地建物取引業者が一団の宅地建物の分譲をする場合における当該宅地又は建物の所在する場所
三 前号の分譲を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
四 他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
五 宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場合にあつては、これらの催しを実施する場所)
場所 | 標識の掲示 | |
---|---|---|
事務所等 | 事務所 | 〇 |
契約・申込をする案内所 | 〇 | |
契約・申込をしない案内所 | 〇 | |
分譲マンション・土地の現地 | 〇 |
「標識の掲示が必要な場所」に関しては「事務所等(事務所、契約・申込をする案内所)」に加えて、契約・申込をしない案内所と、分譲マンション・宅地の現地にも標識を掲示することとされています。
ちなみに宅建士の設置義務の場所(31条の3) は、「事務所等」としていました。(事務所等とは「事務所」+「契約・申込をする案内所」と簡単に整理していました。)
まとめ
申込・契約をする案内所の届出
第50条2項では、唐突に案内所の届出についての規定が出てきます。
2 宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところ所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の宅地建物取引士の氏名を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。により、あらかじめ、第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める場所(法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める場所)
第十五条の五の二 法第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める場所は、次に掲げるもので、宅地若しくは建物の売買若しくは交換の契約(予約を含む。以下この項において同じ。)若しくは宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介の契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受けるものとする。
一 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
二 宅地建物取引業者が十区画以上の一団の宅地又は十戸以上の一団の建物の分譲(以下この条、第十六条の五及び第十九条第一項において「一団の宅地建物の分譲」という。)を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
三 他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
四 宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場合にあつては、これらの催しを実施する場所について所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の宅地建物取引士の氏名を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
・第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める場所については「申込・契約をする案内所」のことです。
・業務を開始する日の10日前までに免許権者および所在地の都道府県知事に届けなければなりません。
・届け出る項目:所在地、業務内容、期間、専任の宅建士の氏名
つまり、申込・契約をする案内所を設置するには、10日前までに届出が必要で、
①免許権者 宛
+
②案内所等の所在地を管轄する都道県知事 宛
また、申込・契約をしない案内所に関しては届出は不要という事が言えます。
これに関して、国土交通大臣に提出すべき届出書は、届出にかかる業務を行う場所の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない、とされています。(第78条の3第2項)