不動産屋に「〇〇にかかる◯◯の費用を払って欲しい」と言われた
不動産屋に「◯◯サービスで◯◯円かかります」と言われた

そんな話聞いてない!違法では?

と思ったことがああリ、WEB調べたという人は少なくないと思います。

私も宅建士になる前に、不動産屋から家賃や仲介手数料以外の費用を請求されたことがあり、払う必要あるの?と思ったことがあります。

宅建士になってみて、現実に行われている不動産屋の違法な手数料と、そうでないものと列記してみましたので、もし今請求されて困っている方がいれば参考にしてみてください。

限度を超えた仲介手数料は違法

不動産屋のビジネスは、賃貸物件や売買物件の仲介手数料をもらうことで成り立っています。

そして仲介手数料の金額の上限は、国土交通省資料に最新情報が掲載されていて、これを超えることができないと規定されています。

賃貸と売買でパーセンテージが違うので、これより多く請求されてないかご確認下さい。

もし違法だと思ったら都道府県の方に駆け込めば万事解決です。

(1)賃貸物件の場合の上限

(1-A)承諾を得ていない場合

貸主と借主から受け取れる仲介手数料の上限は、家賃の1/2+消費税です。

例えば不動産屋の仲介で、家賃8万円の物件に住むことになった場合。

大家→ 8万円 x 1/2 = 4万円 なので 消費税あわせて 44000円
借主→ 8万円 x 1/2 = 4万円 なので 消費税あわせて 44000円

これが上限です。もしあなたが借主なら44000円までは払う必要がある、ということですね。

(1-B)承諾を得ている場合

不動産屋が事前に説明して(あるいは広告に記載があるのが一般的)る場合の、仲介手数料の上限は家賃の1ヶ月分+消費税です。

例えば、家賃7万円の物件に住むことになった場合、

借主→77,000円

これが上限です。

ただし不動産屋は、借主と貸主と同時に両方から1ヶ月分+消費税をもらうことは出来ません

借主のあなたが77000円を支払ったら、貸主の大家からは仲介手数料をもらえないのです。

✨️なので不動産屋は事前に承諾を得ていれば、貸主と借主とからどういった割合で仲介手数料を貰っても、これは違法ではないのです。

貸主から家賃x0.6 + 借主から家賃x0.4 という割合でもらっても問題ないのですね。

たまに大家が仲介手数料を多めに払うから、借主側の負担が少ない物件がありますけど、こういった事情によるものなのです。大家の努力で自分の物件に早く住んでもらいたい場合など、借主の仲介手数料が安い場合もあるのです。

つまり1ヶ月分の仲介手数料を請求されたとき、あなたが「承諾しない」とすることは可能です。その場合は大家と契約できないかもしれませんが。

(1-C)管理費も仲介手数料に含まれたら違法

賃貸物件の場合、家賃とは別で毎月管理費が含まれる場合がありますね。

家賃7万円+管理費4000円みたいなイメージです。

この時、不動産屋が借主からもらえるのは家賃の1ヶ月分が上限ですので、もし管理費4000円も含めた、74000円 x 1.1(税込)になっていた場合、これは明らかに違法になります

(2)売買物件の場合の仲介手数料上限

2024年7月に改正がされたのですが、売買物件の仲介手数料については以下の計算式が上限となります。

売買価格 売主と買主それぞれから受け取れる上限
800万円以下 30万円+消費税
800万円以上 売買価格×3%+6万円+消費税

もし800万円の家の売買を仲介してもらった場合、
売主 → 33万円(税込)
買主 → 33万円(税込)
までは違法ではない、ということになります。

もし仮に2000万円の家の売買を仲介してもらったなら、
2000万円×3%+6万円=66万円。
消費税10%計算で、726,000円となります。

売主と買主それぞれから726,000円を受け取れば、不動産屋の儲けは1,452,000円ということになりますね。

なので、あなたが取引した物件の金額から計算してみて、この上限を超えてないかチェックすればすぐに違法かどうか判明するでしょう。

不動産賃貸の広告料は違法になる場合がある

前の章と関係しますので、大家さんは続けて読んでください。

貸主は不動産屋に広告を依頼して、物件をathomeやsuumoに掲載していると思います。

このとき、入居者が決まるまでは基本的には費用がかかりません。入居者が決まって契約が完了したタイミングで、賃貸の仲介手数料を支払うことでしょう。

その金額は前章のとおり。

不動産屋が貸主から承諾を得てれば、家賃x1ヶ月が上限。承諾を得ていなければ家賃x0.5ヶ月が上限です。(プラス消費税で)

もし不動産屋が借主から承諾を得て家賃x1を受け取っていたにも関わらず、大家であるあなたにも仲介手数料を請求してきたら違法になります。

しかしここで注意点があります。あなたに請求された金額の名目は「仲介手数料」ではなく「AD費」や「広告料」かもしれません。

宅建業法では大家の依頼で行う特別の広告に関する費用は請求してよいことになっています。

多くの不動産屋で、借主から仲介手数料1ヶ月分と、大家から広告料1ヶ月分を受け取ってるかもしれませんが、このような状況が考えられます。

普通は事前に広告の業務委託契約を結ぶか、媒介契約を結ぶときに説明があるはずです。書類を確認してみてください。

賃貸の24時間サービスの加入は違法ではない

賃貸マンション等で、この物件に住むためには「24時間サービス(トラブルサポート)」への加入が義務付けられています、という物件があります。

これは強制加入となるため違法性が疑われますが、現状違法ではないことが多いです。

貸主・管理会社の裁量による「必須オプション」の付帯サービス扱いになっている為です。

「この賃貸物件は24時間サポート付きで、入居者は必ず加入してください」という条件自体は、家主側の自由な契約条件の一部であり、違法とは言い切れません

私自身も契約する段階になって加入必須と言われてビックリしたケースがあります。

この場合、加入せずに住むことは可能かどうかは、貸主や管理会社との交渉次第だと思われます。

契約書をチェックし、不当な条件があれば交渉してみたり、どうしても加入したくない場合は別の物件を探すしかありません。ほとんどの物件は24時間サービス無しでも契約可能なものが多いと思います。

不動産売買のローン手数料は違法の可能性がある

不動産の購入は費用が高額となるため、多くの人は銀行やフラット35などのローンを使う事でしょう。

その斡旋を不動産屋が行っている場合があります。

その時のローン斡旋の手数料に関しては違法になる場合があります。

特に事前に何も説明もなく、不動産屋と契約もされていない場合は、消費者が都道府県に駆け込めばほとんど勝てるでしょう。不動産屋は宅建業法を盾に駆け込まれるのを嫌がるので、たいていは丸く収まるはずです。

2024年の改正で「宅建業法の運用と解釈」では宅建業者は仲介手数料以外の報酬に関して、別途、事前に説明をして契約を締結することで報酬を受け取れることが明記されました。

今回のローン手数料に関しても同様に書面にて契約者と合意がされていれば合法ですが、その説明等もなしに突然請求するような形は違法になるということです。

したがってあなたが物件をローンで購入するときに事前説明がなく、突然請求書が来た場合は違法ですので、不動産屋にその旨を言えば引っ込めることでしょう。

不動産売買の仲介手数料の消費税は気をつけないと違法

不動産売買において、事業者間の取引では、消費税を明記することになりました。

例えば、法人A社所有の物件を法人B社が購入するようなケースです。

建物価格が1100万円だったとき、税抜き価格は1000万円になりますが、不動産屋の仲介手数料はこの税抜き価格から算出する必要があります。

もし1000万円だったら3%+6万円なので、36万円。それに消費税で396,000円が仲介手数料の上限になります。

もしこれを間違えて税込価格の1100万円に3%+6万円とやってしまうと、39万円。それに消費税で429,000円と計算されます。

税込価格から算出した仲介手数料は、通常の上限金額を突破してしまうので違法となります。

事業者の方は気をつけてください。

謝金は違法になる可能性がある

「謝金」とは不動産屋にお礼としてお金を渡すことをいいます。

大家に渡す「礼金」とは違いますよ。

本当によくしてくれた不動産屋にお礼の意味で謝金を渡す人が稀にいるのですが、それを何の気なしに不動産屋が貰ってしまうと違法になる可能性があるのです。

不動産屋の方は注意喚起の意味でご確認ください。

普通は問題にはなりませんが、

あとからこのお客さんから「特別の謝金を要求された」とか言って都道府県にかけこまれると、とたんに立場が危うくなります。

謝金はもらわないように徹底するか、事前に契約書を交わすなどして予防線を貼らないと危険ですよ、ということです。

不動産コンサルティング料は違法の可能性がある

よく不動産投資の現場で、コンサルティング料の請求が問題になる場合があります。

不動産屋は投資家の人に、特別の物件を紹介したり、取引当事者の間に入って値下げ交渉したりすることがあります。

そいういった一連の業務を「コンサルティング」として料金を請求される場合があります。

私も「値下げ交渉に成功したら、仲介手数料と別でコンサルティング料を請求してよいか」と打診されたことがあります。

その時は気づかなかったのですが、今ではこのコンサルティング料の請求の仕方は違法になる可能性が高いです。

前章でも書いた通り、

2024年の改正で「宅建業法の運用と解釈」では宅建業者は仲介手数料以外の報酬に関して、別途、事前に説明をして契約を締結することで報酬を受け取れることが明記されました。

なので、コンサルティング料金も事前に説明と契約があれば、違法にはなりません。

もし投資家の人で、急に突然コンサルティング料を請求された、という場合は違法になるので、その旨を言いつけてやれば大丈夫でしょう。

預り金は違法ではないが、返金されないのは違法

不動産屋から賃貸物件を予約するために「預り金」を要求された。

これは違法なのか疑問に思う方も多いと思いますが、違法ではないが、問題のあるケースも多いのが現状です。

「預り金」は、賃貸契約の予約として不動産会社が受け取るお金のことです。

ここまでは問題ありませんが、物件を契約した場合でも、契約しなかった場合でも、預り金は返還されるべきです。

※契約した場合はそのときの賃料に充当される場合もあります。

「預り金」という言葉が何を意味するのかによりますが、単なる予約金である場合がほとんどだと思います。一時的に預かった金額ですので、その後物件を契約しても契約しなかった場合でも全額返還すべきです。

事前に「返金不可」と説明されていた場合でも、法律上は無効となる可能性が高いと思います。

預り金を渡したら、領収書を受け取ってそれを紛失しないように気をつけてください。

✨️また、「預り金」ではなく「申込金」というワードを使用している業者もあります。

売買契約の手付金は違法ではないが、賃貸では違法の可能性あり

「手付金」は売買不動産の契約時に、買主から売主に支払われるお金のことです。

手付金は「解約手付」を意味することが多いと思います。

手付金を手放せば、この契約をどんな理由であれ「解約できる」という最強の解約のための費用なのです。

(もし解約せずに契約を最後まで履行したならば、手付金は売買金額に充当されます。)

不動産売買の現場では手付金は一般的ですので違法でもなんでもありません

賃貸の現場では「手付金」は払いません

通常、賃貸の契約時に「手付金」は支払いません。もし手付金を請求されたとしたら、おかしいです

前の章のとおり「預り金」という名目でしたら、支払う事がありますが。

その「手付金」の意味をよく確認してください。解約手付なのか、証約手付なのか、、いずれにしても賃貸の現場では手付金は慣例ではありませんので・・違法にお金をかすめようとしてる可能性を考慮してください。

不動産の紹介料は違法の可能性がある

この記事で何度かお伝えしていますが、不動産屋の媒介にかかる仲介手数料以外の名目の料金については、事前の説明と契約があれば違法にはなりません

しかしそういった説明をせずに請求される料金は違法になる可能性があります

「紹介料」といえば、どのような意図で使用してるかにもよります。

①仲介手数料を「紹介料」というワードで誤認した → 一般的な仲介手数料の話でしたら、違法ではありません。

②物件紹介料 → 仲介手数料以外にも紹介料として追加の請求があれば違法です。

③契約時に紹介料 → 同上

③清掃や引越しサービスなどの紹介料 → 事前の説明と契約がなければ違法です。

⑤投資案件の紹介料 → 同上

事務手数料は違法の可能性がある

不動産屋では「事務手数料」というワードは一般的ではありません。

なので何を指して事務手数料と言ってるのかは、よく確認したほうが良いです。

売買や賃貸に関する仲介手数料のことでしたら、適正な範囲内なら違法ではありませんが、仲介手数料とは別で「事務手数料」を請求されたとなれば、それは違法になります

事前に、事務手数料に関する説明と契約書があり納得されているなら違法ではありません。

まとめ

今回は「違法」とかそうでないとか、ショッキングなワードで記事を書きましたが、消費者の方は自分のおサイフを守るためにも内容を把握して理論武装されることをお勧めしたいです。

また、不動産屋への注意喚起ですが、悪意なく慣例的に費用を請求、都道府県にかけこまれて、監査が入ったりした結果、指導や営業停止になる場合がありますので、じゅうぶん気をつけないといけません。