(営業保証金の取戻し)
第三十条 第三条第二項の有効期間(同条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定によりなお効力を有することとされる期間を含む。第七十六条において同じ。)が満了したとき、第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき、同条第一項第一号若しくは第二号に該当することとなつたとき、又は第二十五条第七項、第六十六条若しくは第六十七条第一項の規定により免許を取り消されたときは、宅地建物取引業者であつた者又はその承継人(第七十六条の規定により宅地建物取引業者とみなされる者を除く。)は、当該宅地建物取引業者であつた者が供託した営業保証金を取り戻すことができる。宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が第二十五条第二項の政令で定める額を超えることとなつたときは、その超過額について、宅地建物取引業者が前条第一項の規定により供託した場合においては、移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金についても、また同様とする。
2 前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の公告その他営業保証金の取戻しに関し必要な事項は、法務省令・国土交通省令で定める。

供託所から営業保証金を返してもらうことを「取戻し」と呼んでいます。

第三十条1項

宅建業者だった者(またはその承継人)は、供託した営業保証金を取り戻すことができます。どのようなケースが該当するかというと以下5つが書かれています。

①第三条第二項の有効期間(同条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定によりなお効力を有することとされる期間を含む。第七十六条において同じ。)が満了したとき
→宅建業者の免許の有効期間5年間が満了したとき、のことです。

②第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき
→破産したとき、法人が解散したとき、宅建業を廃止したとき、のことです。

③同条第一項第一号若しくは第二号に該当することとなつたとき
→死亡した場合、もしくは、法人が合併により消滅したとき、のことです。

④又は第二十五条第七項、第六十六条若しくは第六十七条第一項の規定により免許を取り消されたとき
→免許が取り消されたとき、のことです。

宅建業者が支店を廃止したとき

有価証券を含む供託をしていて、本店移転をしたとき、移転前の本店が供託してた営業保証金を取戻しできます。(本店移転による供託金の保管換えができないので、移転後の供託金を出したら、すぐに取り戻しができる)(本店移転と保管替えの記事で解説しているケースです。)

第三十条2項、3項

ここで規定しているのは、官報に「公告」をして6ヶ月経過後から取り戻しができる、ということです。また、法務省令第7条3項3 営業保証金の取戻しをしようとする者が第一項又は前項の規定により公告をしたときは、遅滞なく、その旨を第一項第三号又は前項第三号に規定する国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。では公告をしたら免許権者に遅滞なく届出することを規定しています。

※公告をしなくてよい3つのケース

公告せずに営業保証金を取り戻せる3つのケースがあるのでまとめます。
1.上の⑤のケースです。移転後の供託金を出したら、移転前の供託金をすぐ取戻しできます。
2.記述の通り、取戻しできる事由発生から10年経過したときは、公告なしで取戻しができます。
3.保証協会の社員になったとき
第六十四条の十四参照第六十四条の十四 宅地建物取引業者は、前条の規定により営業保証金を供託することを要しなくなつたときは、供託した営業保証金を取りもどすことができる。

3番は後の64条の条文で出てくるのですが、取り扱うテーマが一緒なのでここで整理して覚えておいた方がよいです。保証協会に加入すると、営業保証金を供託しなくてよいので、すぐ取り戻せるということです。

ちなみに官報とは政府が発行する公式な告示を掲載する出版物のことです。そこに「債権を持ってる人は申し出てください」というお知らせを掲載しなければならないという意味になります。

まとめ

取戻し出来るケース 公告
①宅建業者の免許の有効期間5年間が満了したとき
②破産したとき、法人が解散したとき、宅建業を廃止したとき
③死亡した場合、もしくは、法人が合併により消滅したとき
④免許が取り消されたとき
⑤宅建業者が支店を廃止したとき
⑥有価証券を含む供託をしていて、本店移転をしたとき 不要
⑦10年経過したとき 不要
⑧保証協会の社員になったとき 不要

営業保証金の変換(差し替え)

営業保証金を有価証券で供託してる場合、金銭を供託することで、供託物(有価証券)を取り戻すことができます。これを営業保証金の変換と呼んでいます。(宅地建物取引業法の解釈25条第4項関係)

この時は供託書正本の写しを添付して遅滞なく免許権者に届出なければなりません。(以下の宅建業法施行規則15条の4の2参照)

(営業保証金の変換の届出)
第十五条の四の二 宅地建物取引業者は、営業保証金の変換のため新たに供託したときは、遅滞なく、その旨を、供託書正本の写しを添付して、その免許を受けている国土交通大臣又は都道府県知事に届け出るものとする。