宅建業法の最後は罰則について79条~86条まで続きます。このサイトでは宅建業者および宅建士にかかる部分に注目して解説します。

第八章 罰則
第七十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 不正の手段によつて第三条第一項の免許を受けた者
二 第十二条第一項の規定に違反した者
三 第十三条第一項の規定に違反して他人に宅地建物取引業を営ませた者
四 第六十五条第二項又は第四項の規定による業務の停止の命令に違反して業務を営んだ者
第七十九条の二 第四十七条の規定に違反して同条第一号に掲げる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第八十条 第四十七条の規定に違反して同条第二号に掲げる行為をした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第八十条の二 第十六条の八第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第八十条の三 第十六条の十五第二項又は第十七条の十四の規定による試験事務又は講習業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関の役員若しくは職員又は登録講習機関(その者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員(第八十三条の二において「指定試験機関等の役員等」という。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第八十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第三十二条又は第四十四条の規定に違反した者
二 第四十七条の規定に違反して同条第三号に掲げる行為をした者
第八十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第四条第一項の免許申請書又は同条第二項の書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第十二条第二項、第十三条第二項、第三十一条の三第三項又は第四十六条第二項の規定に違反した者
三 不正の手段によつて第四十一条第一項第一号又は第四十一条の二第一項第一号の指定を受けた者
四 第五十六条第一項の規定に違反して手付金等保証事業以外の事業を営んだ者
五 第六十条(第六十四条の十七第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して保証委託契約を締結した者
六 第六十一条(第六十三条の三第二項において準用する場合を含む。)又は第六十四条の二十の規定による命令に違反した者
七 第六十三条の三第二項において準用する第五十六条第一項の規定に違反して手付金等保管事業以外の事業を営んだ者
八 第六十三条の三第二項において準用する第五十一条第三項第一号の事業方法書によらないで手付金等保管事業を営んだ者
第八十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第九条、第五十条第二項、第五十三条(第六十三条の三第二項において準用する場合を含む。)、第六十三条第二項(第六十三条の三第二項において準用する場合を含む。)又は第七十七条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第三十七条、第四十六条第四項、第四十八条第一項又は第五十条第一項の規定に違反した者
三 第四十五条又は第七十五条の三の規定に違反した者
三の二 第四十八条第三項の規定に違反して従業者名簿を備えず、又はこれに同項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
四 第四十九条の規定による帳簿を備え付けず、又はこれに同条に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
五 第五十条の十二第一項、第六十三条第一項若しくは第三項(これらの規定を第六十三条の三第二項において準用する場合を含む。)、第六十三条の二第一項(第六十三条の三第二項及び第六十四条の十八において準用する場合を含む。)又は第七十二条第一項から第三項までの規定による報告をせず、若しくは事業計画書、事業報告書若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした事業計画書、事業報告書若しくは虚偽の資料を提出した者
六 第五十条の十二第一項、第六十三条の二第一項(第六十三条の三第二項及び第六十四条の十八において準用する場合を含む。)又は第七十二条第一項若しくは第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
七 第六十三条の五の規定に違反して寄託金保管簿を備えず、これに同条に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は寄託金保管簿を保存しなかつた者
2 前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第八十三条の二 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関等の役員等は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十六条の十一又は第十七条の十五の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
二 第十六条の十三第一項若しくは第二項又は第十七条の十六の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
三 第十六条の十四第一項の規定による許可を受けないで試験事務の全部を廃止し、又は第十七条の十の規定による届出をしないで講習業務の全部を廃止したとき。
第八十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第七十九条又は第七十九条の二 一億円以下の罰金刑
二 第八十条又は第八十一条から第八十三条まで(同条第一項第三号を除く。) 各本条の罰金刑
第八十五条 第五十条の十一の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。
第八十五条の二 第十七条の十一第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各号の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。
第八十六条 第二十二条の二第六項若しくは第七項、第三十五条第四項又は第七十五条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

条文を表でまとめて整理すると以下のようになります。

宅建業者への罰則

罰則 違反内容 対象 法人の罰金
3年以下の懲役
もしくは
300万円以下の罰金
(または併科)
不正の手段により免許を受けた者(79条1項1号)
無免許で事業をしたもの(79条1項2号)
名義貸しをして他人に宅建業を営ませたもの(79条1項3号)
業務停止処分に違反して業務を営んだもの(79条1項3号)
人と会社 1億円以下
の罰金
2年以下の懲役
もしくは
300万円以下の罰金
(または併科)
・契約の勧誘をするときなどに、重要な事実を故意に告げなかったり、不実を告げた者(79条の2) 人と会社 1億円以下
の罰金
1年以下の懲役
もしくは
100万円以下の罰金
(または併科)
・不当に高額の報酬を要求したもの(80条) 人と会社
6ヶ月以下の懲役
もしくは
100万円以下の罰金
(または併科)
・営業保証金の供託の届出前に事業を開始したもの(81条1項1号)
誇大広告等の禁止に違反したもの(81条1項1号)
・不当な履行遅延行為をしたもの(81条1項1号)
手付の貸付け等をすることにより、契約の締結を誘引したもの(81条1項1号)
人と会社
100万円
以下の罰金
・無免許で宅建業者としての表示・広告をしたもの(81条1項2号)
・名義貸しをして他人に宅建業の表示・広告をさせたもの(81条1項2号)
専任の宅建士の設置義務に違反したもの(81条1項2号)
報酬限度額を超えて報酬を受領したもの(81条1項2号)
人と会社
50万円
以下の罰金
変更の届出をしなかったり、虚偽の届出をしたもの(83条1項1号)
・事務所の所在地、業務内容、業務を行う期間、専任宅建士の届出につき虚偽の届出または届出をしなかった(83条1項1号)
37条書面の交付をしなかったもの(83条1項2号)
・事務所に報酬の額を掲示しなかったもの(83条1項2号)
・従業者に従業者証明書を携帯させなかったもの(83条1項2号)
・標識を掲示しなかったもの(83条1項2号)
・従業者名簿の未設置、未記載、虚偽記載(83条1項3の2号)
・帳簿の未設置、未記載、虚偽記載(83条1項4号)
・業務について報告を求められても報告を怠り、虚偽報告をした者(83条1項5号)
・国土交通大臣または都道府県知事の立ち入り検査の拒否、妨害、忌避したもの(83条1項6号)
人と会社
守秘義務違反をしたもの(83条1項3号) 本人だけ

宅建士への罰則

罰則 違反内容 対象 条文
10万円以下
の過料
・宅建士証の返納義務に違反したもの
・宅建士証の提出義務に違反したもの
・重要事項の説明時に、宅建士証を提示しなかったもの
本人だけ 86条