第五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 第六十六条第一項第八号又は第九号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条、第十八条第一項、第六十五条第二項及び第六十六条第一項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
三 第六十六条第一項第八号又は第九号に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十一条第一項第四号又は第五号の規定による届出があつた者(解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から五年を経過しないもの
四 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十一条第一項第四号若しくは第五号の規定による届出があつた法人(合併、解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は届出の日から五年を経過しないもの
五 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
六 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。第十八条第一項第七号及び第五十二条第七号ハにおいて同じ。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
七 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
八 免許の申請前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
九 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者
十 心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
十二 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
十三 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者
十五 事務所について第三十一条の三に規定する要件を欠く者
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をしない場合においては、その理由を附した書面をもつて、申請者にその旨を通知しなければならない。
第5条1項1号
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
これは破産者で復権を得ない者は免許を受けられないということです。復権を得れば直ちに免許を受けることができます。
「破産の復権を得る」とは、自己破産することで生じる法律上の制限が解除され、元の状態に戻ることを意味します。
第5条1項2号
第六十六条第一項第八号又は第九号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者。(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条、第十八条第一項、第六十五条第二項及び第六十六条第一項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
最初の部分で他の条文を読め、みたいになってるので概要をしめすと‥
(第六十六条第一項第八号)‥不正の手段により免許を受けた
(第九号)‥業務停止処分に該当する行為をし情状が特に重い、業務停止処分に違反した
これらに該当して免許を取り消された者で、取消の日から5年経過してない者は免許を受けられない。この3つは業界で「3大悪」と呼ばれてるようなので気を付けてください。もう1度整理すると。
①不正手段で免許を受けた
②業務停止処分に該当する行為をし情状が特に重い
③業務停止処分に違反した
となります。宅建業者で免許取消になると5年間は改めて免許を受けられないという訳です。
で、条文のカッコ内についても解説していきます。カッコ内は法人の場合について言及しています。
この免許取消になった法人の役員であった者は全員悪人認定され、他の会社を立ち上げても欠格事由に該当してきます。たった1人の悪い役員のせいで免許取消になったとしても、他の役員も巻き添えです。
具体的には、免許取り消しにかかる聴聞公示の日前60日以内にその法人の「役員」であったものは、その取り消しの日から5年間は免許を受けることが出来ません。次のケースも見ておくとよいです。
【免許取り消し前に役員が退職したケース】
聴聞公示の日の前60日以内に役員だった者は、別な会社Bを設立して免許取るようなことは出来ない。
役員ではなく「政令使用人」だった者については言及されていないので、政令使用人は個人あるいは他の会社設立して免許を受けられます。(ひっかけ問題で出てくる)
第5条1項3号と4号
この2つは同時に解説した方がわかりやすいので2つ並べて解説します。
三 第六十六条第一項第八号又は第九号に該当するとして免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十一条第一項第四号又は第五号の規定による届出があつた者(解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から五年を経過しないもの
こちらは三大悪で免許取消処分の聴聞の公示日~処分の日(または処分をしないことを決定する日)までの間に、会社を解散したり宅建業を廃止(第十一条第一項第四号又は第五号の規定による届出)した者は、届出の日から5年間は免許を受けられない、としています。簡潔に言うと、免許が取消される前に自主廃業しちゃえ!といういわゆる駆け込み廃業のケース。「かけこみ廃業」した場合、廃業の届け出の日から5年間は免許を受けられないとしています。免許取消になる前に宅建業を廃止して、またすぐ宅建業の免許を取る、みたいなことを出来なくしているルールです。
前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十一条第一項第四号若しくは第五号の規定による届出があつた法人(合併、解散又は宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は届出の日から五年を経過しないもの
そしてこちらは「法人」の場合で、役員だった者についても免許の欠格事由と定めているのがこの条文です。2つのケースを図で示しておきますね。
【免許取り消し前に廃業したケース】
この法人Aは免許を受けられない&この法人の役員だったBは免許を受けられない。
業務停止の聴聞公示の場合は欠格事由になりません。
第5条1項5号
五 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
禁錮以上の刑罰に処せられたものは免許を受けられません。ここで刑罰についても整理しておきます。
刑罰は図のように重い順で
死刑>懲役>禁錮>罰金>拘留>科料>没収
となっています。
懲役・・・身柄を拘束&労働を義務付けられる
禁錮・・・身柄を拘束
罰金・・・刑事罰・・前科がつく1万円~
科料・・・刑事罰・・前科がつく1000円~1万円
ちなみに過料というのもあって、こちらは行政罰で前科がつかない。
さて、条文の解説に戻りますと、禁錮以上の刑に処せられた者は免許を受けることができず、また刑の執行が終わった日から5年を経過しないものは免許を受けることができません。刑の執行を終えて5年経てば免許を受けられます。
執行猶予が付いた場合、執行猶予期間中は免許を受けることが出来ないけれど、執行猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けられる。例えば懲役1年執行猶予3年で免許取消し処分を受けた場合、執行猶予3年で刑の言い渡しの効力を失うことになり、その翌日からでも免許を受けることができます。
控訴・上告中の者は、現時点では免許を受けられます。
後で出てきますが、法人で役員や政令使用人がこれに該当すると、法人の免許が取り消されます。会社が巻き添えになる訳ですね。
例①:法人の役員が懲役1年執行猶予2年になると、法人は免許が取り消されます。逮捕されて刑が確定する前に役員が辞任すれば、会社は守られます。
例②:執行猶予期間中の者をうっかり役員に就任させてしまうと、その法人は免許が取り消されます。
ちなみに「拘留>科料>没収」この3つの刑罰を受けても免許の欠格事由にはなりません。
特定の「罰金」の刑罰を受けた場合は、免許の欠格事由になることがあります。それを規定しているのが次の号です。
第5条1項6号
六 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。第十八条第一項第七号及び第五十二条第七号ハにおいて同じ。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ここでは罰金の刑に処せられた中でも次の法律に違反した者について、免許を受けられないとしています。また刑の執行が終わった日、または執行をうけることが無くなった日から5年を経過しない者は免許を受けられない、と定めています。
該当する法律は以下です。
この法律:宅地建物取引業法に違反
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反
刑法第204条:傷害
第206条:現場助勢
第208条:暴行
第208条の2:凶器準備集合及び結集
第222条:脅迫
第247条:背任(任務に背く行為)
暴力行為等処罰に関する法律に違反
図で示すと以下のようになります。
つまりまとめると以下のようになります。
過去問でも出てきた事がありますが、「業務上過失傷害」で罰金はアウトですが、過失傷害(うっかり怪我させた)での罰金はセーフとなっています。
第5条1項7号
七 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
暴力団員 または 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者は免許を受けられない。
第5条1項8~9号
八 免許の申請前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
九 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者
ここはそのままですね。宅建業に関して悪いことをしたもの、しそうなものは免許を受けられません。
①免許申請前5年以内に宅建業に関し不正または著しく不当な行為をしたもの
②宅建業に関し不正または不誠実な行為をする恐れが明らかなもの
第5条1項10号
十 心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
心身の故障があり宅建業を営めない者は免許を受けられません。「国土交通省令で定めるもの」は、以下のように施行規則に詳細が書かれています。
施行規則第三条の二
法第五条第一項第十号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により宅地建物取引業を適正に営むに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。
精神上の障害により自己の事務を処理する能力が無い/あまりないと判断された「成年被後見人・被保佐人」でも免許を受けられます。(個別に審査がある)
第5条1項11号
十一 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
ここはややこしいのですが重要なのでちゃんと見ていきます。
まず未成年者というのは18歳未満の者を指しています。
そして、未成年者の法定代理人が1号~10号までに該当すると、その未成年者は免許を受けられない、という事になります。
「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」というワードが出てくるのでこれを解説すると、「法定代理人から営業の許可を受けていない未成年者」という意味です。17歳の未成年者で親から営業許可が出ていない場合が該当します。
では逆に「法定代理人から営業の許可を受けている未成年者」だったらどうなるかというと、この未成年者は法定代理人が欠格事由に該当しても免許を受けることができるのです。
図示しましょう。
第5条1項12号13号
この号もとても重要です。似てるので2つ一緒に解説していきます。
十二 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
十三 個人で政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの
12号では、法人の役員か政令使用人に1号~10号までの誰かがいると、その法人は免許を受けられないという事です。
13号では、個人店の不動産屋の政令使用人が〃
その欠格の人が退職すれば免許を受けられます。
第5条1項14号
十四 暴力団員等がその事業活動を支配する者
これはそのままですね。暴力団員が事業活動を支配する者である場合、免許を受けることができません。暴力団員が社長や役員だったら当然免許は受けられないし、ただの平社員やバイトであっても事業活動の支配者であればダメという事ですね。
第5条1項15号
十五 事務所について第三十一条の三に規定する要件を欠く者
第31条の3では「専任の宅地建物取引士の設置」について規定しています。事務所についてその設置要件を満たさない場合は免許を受けられません。詳細は31条の3で解説しますが、ここで簡単に説明すると事務所ごとに専任の宅建士を置く必要があります。業務に従事する人5名につき専任宅建士1人居ないといけない、というルールです。
専任宅建士が1人いたら社長やバイトや社員含めて5人までOKということです。もう1人社員を雇おうと思ったら専任宅建士がもう1人必要になります。
同じ事務所で働いてる建設業の2人はカウントされないので大丈夫です。
第5条2項
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をしない場合においては、その理由を附した書面をもつて、申請者にその旨を通知しなければならない。
免許権者は免許をしない場合は、その理由を附した書面をもって申請者にその旨を通知しなければならない。そのままですね。