不動産屋で勤務する宅建士です。
不動産一括査定サービスを利用して集客しているので、それにまつわる話題を。
当記事では一括査定を電話なし・匿名で利用する方法があるかどうか。
業者側の動き。対応のポイントなどをお話していきます。
不動産一括査定で電話番号の入力なしのサービスはあるか?
→ 残念ながらありません。
HOME4U、HOMES、ATHOME、SUUMOなど大手の不動産売却の一括査定サービスはありますが、いずれのサービスも電話番号の入力を必須事項としてあります。
ですので一括査定サービスを利用するにはご自身の電話番号を入力していただくのが最低限のマナーというか利用者側としてはデメリットとなっています。
私は不動産屋で勤務していますが、私も何度も一括査定の申込をメールで受け付けていますが、中にはあきらかに偽物の電話番号を入力してくるお客様もいらっしゃいます。どうしても電話番号を入力したくないのでしょうね。。
なぜ「電話番号入力なし」が出来ないかというと、一括査定サイトは「電話番号ありの顧客を不動産屋に送客する」という事をサービスにしているからです。
不動産一括査定で電話なし、拒否にできるか?
不動産一括査定サービスで電話番号の入力は必須事項ですが、備考欄に「電話でのやり取りは大変なので、メール等でのやり取りを希望します」と書いておくことをおすすめします。「LINEでも構いませんのでQRコードを送ってください」でもよいかもしれません。
そうすると流石に電話は遠慮してメール等でのコンタクトしか取らない業者が多いことでしょう。
とはいえ中にはそういった備考が書かれていても架電してアポ取りを目指す不動産屋も多いです。うざったいことこの上ないのですが営業方針としてそういう会社もあるということを知っておいて損はありません。
顧客に寄り添える会社なのか、要望を聞いてくれそうか、ゴリ押ししてこないかの判断材料になりますので。
不動産一括査定で電話なし希望のお客さん対応(不動産屋の動き)
不動産屋としては架電してアポ取りを目指したいのに加え、売却に前向きなお客様のために時間を使いたいと思っています。
たいして売る気がない、まだ売る段階にない人のために時間を使ってやれるほど暇ではありません。
本当に売却を目指している人にこそ寄り添ってサポートしたいと思うことでしょう。ですので「電話なし」を希望のお客様の場合は、対応が後回しになったり優先順位が下がったりする傾向があります。
メールで連絡を取っても、返事がないことがほとんどですので、メールを書くだけ無駄という認識です。またこの業界はPC操作が得意ではない人が多いのでメールを書くのが遅い、億劫だったりして。出来れば電話で話をしたい人が多いように思います。
DXやIT化が進んでいないので、そのあたりはご勘弁願いたいなとも思います。
不動産一括査定を匿名で出来るか?
匿名での申込ですが、出来ないけど出来ないこともないのが正解かなと思います。
申込時の氏名欄に偽名を使う人はたまにいます。どうして偽名を使ってくるかと言うと次のような人の場合が考えられます。
- 離婚するので不動産を売りたい
- 自分の名義じゃない不動産の価値をしりたい
- ローンの返済が苦しいので不動産を売って楽になりたい
- 親が死にそう、相続したので、準備をしたい
ただの住み替えで売却検討中ではなく、様々な理由があって売却検討中なのですね。
離婚するので、訪問査定をお願いしたいがスーツで来ないでくれ、や、ピンポンをしないで入ってきてくれ、周りに知られたくない‥など要望があります。
匿名で受けたとしても不動産屋はわかってしまう
さて、匿名での査定ですが、訪問査定を依頼すると物件住所が必要ですよね。不動産屋はその物件住所に訪問して査定するわけで。表札があれば名前バレします。
訪問対面ではなく簡易査定(外観だけの査定)だったとしても、誰でも簡単に法務局で登記簿を取得できますし、登記簿にはその不動産の所有者が記載されてるわけですから、匿名は困難です。
匿名で不動産の査定をするなら、偽名や偽の電話番号を使ってAI系の査定サービスで査定をするしかないと思います。
一部のサービスでは、氏名や詳細な連絡先を入力せずに、おおまかな査定価格を得られる「簡易シミュレーション」ツールがあります。この場合、物件住所は入力しますが、個人情報は不要です。正確な見積もりではなく、参考価格に留まります。
匿名での一括査定は難しいですが、守秘義務はありますので、少数に絞った不動産屋に、電話で事情を話してサポートしてもらうのが良いのではと思います。
不動産一括査定は危険なのか?
不動産の一括査定は危険なのではと考える方も少なからずいらっしゃるようです。どういった面で危険なのでしょうか、危険性はあるのかお伝えしたいと思います。
まずは個人情報提供の危険性が挙げられます
一括査定とは複数の不動産屋に依頼をかけることになりますから、個人の情報をその不動産屋に提供することになります。この事自体が気持ちよく無いという方もいます。
不動産屋からの情報流出の危険性もありえます
複数社に情報が提供されますので、その中の1社でもずさんな個人情報管理をしていたとしたら、情報流出の可能性があります。例えば店舗のPCにウィルスが感染したようなケースが想定されます。
重大な危険性と言えば上記の2点でしょうか。他にあり得るのはたびたびかかってくる不動産屋からの電話が面倒に感じたり、押し売りならぬしつこい営業電話や、急な売買契約をせまるような対応をする業者もいるかもしれません。価格が高額なので慎重に業者を選ぶべきとも思います。
他には一括査定の危険性は考えにくいように思いました。個人情報の提供が最も注意しなければならないとはいえ、査定の目的のためには住所・氏名などの個人情報の提供はやむを得ないと思います。
一括査定の不動産屋、しつこい業者にどう対応する?
一括査定をすると複数の不動産屋に依頼メールが飛んでいきます。全ての不動産屋は売主と「専任媒介契約」を結びたいと考えているはずです。
それによって他社との契約ができなくなり、1社独占で販売活動をすることができるようになるからです。
営業活動をする会社が複数になることは売主としては利点がありますが、不動産屋としてはデメリットになります。それは売買契約を成立させた1社のみが手数料を受け取れるという成功報酬型のビジネスモデルだからですね。
ですので、自社と専任媒介契約を結んで欲しいという意味で、しつこい営業電話をかけてくるような業者もいるのではないかと思います。
しつこい業者にどう対応するか
業者に対しては「他の会社と専任媒介契約を結んだので、これ以上連絡してこないでください」と伝えればOKです。専任を結んでしまうと他の不動産屋とは契約を結べませんので諦めてくれるはずです。
査定後の営業対応のポイント
さて、実際に不動産一括査定を申込したあとの営業対応のやり方をお伝えします。
日中に一括査定を申し込むと、その瞬間に複数の不動産屋にメールが飛んでいきます。そしてメールを受信した不動産屋はすぐに架電してアポ取りを目指しますので、すぐに電話がかかってくると思っておいてください。
4社に依頼したら4社から1日のうちに必ず電話がかかってくるでしょう。1件1件対応して訪問査定の日程調整をすればOKです。ここは手間になりますが価格が大きいのでそれぐらいの労力は惜しむべきではありませんね。
電話がかかってくるのが嫌だなと思う人は、水曜日に行うのも手です。多くの不動産屋は水曜日を定休日にしてることが多いので、電話が分散することが考えられます。
あるいは日時指定をして電話を受けられる時間を備考欄に書いておくのも良いかと思います。
1社ずつ訪問査定を受け入れましょう。中を見てもらいこちらも情報を提供していきます。その場で査定額を出すか後日査定額を出すかは業者によるでしょう。このとき重要なのは査定に来た営業マンのトークや振る舞いが自分とマッチしているかを確認することです。
相性が悪そうな営業マンだと、最後まで苦労しますので。
・自社の自己紹介を行っているか
・こちらの要望を聞いてくれているか
・コミュニケーションがスムーズか
・どこのサイトに掲載してくれるか(athome, suumo, homesは基本)
・販売戦術や、段階的な価格調整のプラン等
・媒介契約の種類と説明
・営業報告のタイミング
・レインズに登録したときに登録書をもらえるか
・写真撮影の時期はいつになるか
・査定時に家のどこを見たか
・アピールポイントを聞いてくれてるか
一通りこのあたりを確認して、良さそうだなと思う不動産屋に後日連絡しましょう。
このときどうしても後ろの方の不動産屋のほうが有利になる傾向があります。なぜかというとどうしても査定額を後出しにすることで、他社より高見えする査定額を出せるからです。高い査定額を出されると、その額で売ってくれそう感がありますけど、実際はそんなことありませんので注意してください。
その額で買ってくれる人が現れないことには売れないのですから。
査定額が出た後の対応のポイント
査定額が出た後は、高い査定額の業者にお願いしたくなる気持ちをグッとこらえて(笑)
なぜその額になったのか論理的な算出を教えてもらい、ご自身が納得できることが重要です。
「ウチなら特別な販売経路がある」「このエリアを探してる人を知っているからすぐ紹介できる」等と言うことがありますが、実はだいたいどこも似たりよったりです。期待感を煽りますがその真実は不明です。「その方が内覧したければお見せしますので、後日ご連絡ください」と言っておけばよいです。
あなたを納得させられる情報を提供してくれた業者こそ契約すべきだと思います。